2011 Fiscal Year Annual Research Report
細菌表層提示蛋白質を利用した改良型IVET法の開発
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22590391
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安倍 裕順 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00379265)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 発現制御 / IVET / 宿主 |
Research Abstract |
具体的内容 昨年度開発した改良型IVET法と気管支敗血症菌ライブリラリおよびラット感染モデル実験系を用いてマイクロアレイ解析を行った。ラット気管で発現するライブラリの感染後1,3,9,15,30日の経時的探索を行った結果、既知の病原性遺伝子は感染全日程において高発現する遺伝子群(bvgA,bvgR,fhaB,III型分泌装置関連遺伝子群)、感染経過とともに一過的な発現変動をする遺伝子群(cyaA,fim2)、試験管内培養と発現レベルに差が認められないあるいは低下する遺伝子群(ptx,dnt,tcfA,bipA,pertactinなど)に分類することができた。また、感染全日程においてラット気管で高発現する289の遺伝子間領域をRIL(rat trachea induced Ioci)として定義し、その制御下にある259遺伝子をラット気管で発現する遺伝子として抽出することができた。さらに、RIL制御下の遺伝子群から気管支敗血症菌特異的な28の遺伝子を同定した。 研究の成果の意義、重要性 本実験により初めて感染経過に伴う病原性遺伝子の発現消長が観察された。この結果は、発現に影響を及ぼす感染宿主内環境因子が存在することと因子の量的あるいは質的な変動があることを示唆している。これは、感染宿主と病原性細菌の相互作用が経時的に変化することを意味しており、本菌の感染病態を理解する重要な知見と考えられる。また、感染ラットの気管で恒常的に発現誘導される28の気管支敗血症菌特異的な遺伝子を同定することができた。得られた遺伝子群の機能解析から、宿主域の広い気管支敗血症菌と宿主をヒトに限局した百日咳菌の感染性の違いを明らかにする分子生物学的基礎知見が提供できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、平成22年度内に1)菌体表層に提示される標識蛋白質により選択的に菌体を回収する系の構築,2)菌体表層提示蛋白質を発現する菌体を動物感染モデルから回収する方法の確立を達成し、平成23年度は3)ラット感染時に発現する気管支敗血症菌の遺伝子の探索と4)病原性に影響する遺伝子および遺伝子発現制御の同定を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
RIL制御下かつ気管支敗血症菌特異的な28の遺伝子に含まれる6の転写制御関連遺伝子の破壊株および大量発現株を構築し、病原性に対する影響を系統的に解析する。また、RIL制御下の259遺伝子の中から、新規病原性遺伝子候補の探索を行い、気管支敗血症菌と百日咳菌の病原性相違の原因と考えられる遺伝子および遺伝子発現制御機構の実証を行う。
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[Journal Article] Crystal Structure of Clostridium Perfringens Enterotoxin Displays Features of β-Pore-Forming Toxins2011
Author(s)
Kitadokoro, K., K.Nishimura, S.Kamitani, A.Fukui-Miyazaki, H.Toshima, H.Abe, Y.Kamata, Y.Sugita-Konishi, S.Yamamoto, H.Karatani, Y.Horiguchi
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: Vol.286
Pages: 19549-19555
DOI
Peer Reviewed
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