2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590393
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 章 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90304047)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / ノルエピネフリン / 病原性活性化機構 |
Research Abstract |
ノルエピネフリン(NE)をはじめとするカテコールアミンは細菌感染症の増悪因子であることが知られている。細菌感染症罹患時にはNEが多量に体内に分泌されることが知られており病状がさらに増悪することが指摘されている。しかしNEによる感染症増悪機構は明確ではない。そこで本研究ではNEなどカテコールアミンによる病原性細菌の病原性活性化機構を明らかにし、その阻害方法を検討することにより感染症治療に役立てることを目的とした。 実験動物を用いたin vivoでの解析においてもNEによる腸炎ビブリオ病原性の活性化が認められた。しかしながら、この現象が起こるメカニズムについては全く解析が行われておらず、今後の研究課題となっている。そこで、以下の点に着目し、解析を進めた。 a.カテコラミンによる腸炎ビブリオ病原性活性化機構とアドレナリン受容体との関連性の解析 b.腸炎ビブリオ感染時において特異的に関与する宿主側因子の同定 この結果腸炎ビブリオが宿主細胞に対して病原性を発揮するときにERK1/2, c-jun amino terminal kinase JNK, p38 kinaseの活性化が起こることを見出した。さらにERK1/2は炎症性サイトカインIL-8遺伝子発現促進に関与し、p38 kinaseは炎症性サイトカインIL-8のmRNA安定化に関与していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って研究が進行しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに、腸炎ビブリオ感染による宿主細胞内MAPK系シグナル関連タンパク質の活性化機構について詳細な検討を続ける必要があると考えられる。さらに病原性亢進作用機構の阻害物質や阻害剤の検索を行い、感染症治療に結びつける必要があると考えられる。候補となる物質は、アドレナリン受容体阻害物質、細胞内情報伝達機構の阻害物質等である。これら候補物質の阻害作用を上記の動物実験系、ラット腸管上皮細胞実験系で確認し、ヒトへの適応を評価する必要があると考えられる。
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Research Products
(5 results)