2010 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞内増殖性を喪失したレジオネラ強細胞毒性株による毒性発現機構の解明
Project/Area Number |
22590398
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三宅 正紀 静岡県立大学, 薬学部 (00295560)
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Keywords | 細菌 / 病原性 / レジオネラ / 細胞内増殖 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
Lp野生株ゲノムへのランダムトランスポゾン挿入により分離された、宿主細胞内増殖性を欠損しているにもかかわらず、高い細胞毒性を示す変異株(Tox^h変異株)をマクロファージ様細胞U937に感染させ、感染早期における後期エンドソーム-リソソームマーカーであるLAMP-2及び小胞体保留シグナルKDEL保有タンパク質の菌含有ファゴソームへの集積性を共焦点レーザー走査顕微鏡で観察した。Tox^h変異株を含むファゴソームは、LAMP-2との共局在率は低い一方、KDELシグナルとの共局在率は高いことが明らかとなった。このことは、Tox^h変異株は、野生株と同様に、自身を含むファゴソームに対してリソソームの融合を阻害し、小胞体タンパク質を周囲に集積させることを示唆した。また、Tox^h変異株感染細胞の透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、菌含有ファゴソームへの輸送小胞、ミトコンドリア、小胞体の接近、ファゴソーム膜へのリボソームの配列が観察され、野生株感染時にみられる特殊なファゴソーム(Legionella-containing vacuole, LCV)に類似したファゴソームか形成されていることが分かった。さらに、宿主細胞内小器官のLp感染特異的なリクルートメントに関わるエフェクターRalFの宿主細胞内への送達について、RalFとCya(百日咳菌アデニル酸シクラーゼ)との融合タンパク質(Cya-RalF)を発現するTox^h変異株を構築し、その宿主感染において、Cya-RalFがIcm/Dot分泌装置により宿主内へ輸送された時のみ細胞内cAMPの産生が誘導されることを利用して、Tox^h変異株のエフェクター輸送能を調べた。その結果、Tox^h変異株の感染では、細胞内cAMPの産生増加が見られ、RalFが宿主細胞内へ送達されることが示された。これらの結果より、Tox^h変異株が、野生株と同様に、Icm/Dotを介したエフェクターの作用を介して、感染細胞内でLCV様ファゴソームを形成することが推測された。
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Research Products
(2 results)