2010 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮細胞に存在するボツリヌス毒素受容体タンパク質の同定
Project/Area Number |
22590405
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
渡部 俊弘 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (80175695)
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Keywords | ボツリヌス毒素複合体 / 小腸上皮細胞 / ボツリヌス食中毒 / 受容体 / 糖鎖 / シアル酸 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ボツリヌス毒素が腸管から吸収される際、小腸上皮細胞のどのような分子に結合し、吸収されるかを明らかにすることにある。平成22年度は、ボツリヌス毒素複合体を形成するいずれの分子が小腸に結合するかを明らかにすることを目的として実験を行った。 ボツリヌス菌D型4947株(D4947)を嫌気培養し、カラムクロマトグラフィーにより神経毒素(BoNT)、および無毒成分の数の異なる各種毒素複合体を精製した:BoNT、 BoNTにNTNHAが結合したM-TC、 M-TCにHA-70が3分子結合したM-TC/HA-70、さらにHA-33/17複合体が1、2あるいは3分子結合した1本アームL-TC、2本アームL-TCあるいは3本アームL-TC。これら毒素の、ラット培養小腸上皮細胞IEC-6に対する結合および透過量を調べた。 結合量、透過量は、いずれもBoNT=M-TC=M-TC/HA-70≦1本アームL-TC≦2本アームL-TC≦3本アームL-TCであった。また、L-TCの結合および透過は、シアル酸を添加することによって抑制され、さらにHA-33/HA-17複合体の結合と透過もシアル酸を添加することによって抑制された。以上の結果から、D型ボツリヌス毒素は腸管上皮細胞膜に発現する糖鎖のうち、シアル酸に結合すること、また毒素複合体の構成成分のうち、HA-33が最も結合に寄与していることが明らかとなった。今後はこれらの結果を踏まえ、シアル酸を含む受容体を、L-TCあるいはHA-33をプローブとして単離することが必要であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)