2010 Fiscal Year Annual Research Report
真菌PAMPsの免疫毒性と感染症ならびに難治性疾患における意義の解明
Project/Area Number |
22590406
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
大野 尚仁 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80152213)
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Keywords | βグルカン / マンナン / 真菌 / PAMPs / マイクロアレイ / 血管炎 / 抗炎症作用 / DBA/2マウス |
Research Abstract |
βグルカン(BG)とマンナン(CAWS)は何れも真菌細胞壁の主要な構成成分であり,免疫系を刺激することから真菌由来のPAMPsとして知られる.真菌PAMPsの有用性は多くの研究者により積極的に解析されてきたが,有害性に着目した例は無い.これらの活性はマウス系統差を示し,C57BL/6(B系統)はCAWSによる急性致死が起きるが,DBA/2(D系統)では強い血管炎を起こし慢性期に死亡する.本研究では,この2系統の差を解析するために、肝臓での遺伝子発現を中心に比較した。その結果,CAWS投与によりB系統では1921種、D系統では1998種の遺伝子発現が上昇した.さらに,それらについて系統間での発現を比較したところ,B系統のみ:1503種,D系統のみ:1570種,共通:418種が認められた.各遺伝子について比較検討したところ,共通遺伝子として,SLPiが見出された.これは白血球のプロテアーゼを阻害し内皮を守り,抗炎症性を示す.SLPiの産生増強はdendritic cellを種々のPAMPs刺激するとの報告もある.また,D系統では、好中球浸潤を示唆する,lipocalin2, proteinase3, myeloperoxidaseなどが高値で認められた.一方、B系統では、P450の発現,Cdh3等の接着分子の発現,Gpc3等の細胞外マトリックスの発現など,急性炎症による白血球の活性化及び抗炎症反応が示唆された。急性致死と血管炎による致死についての差異を明確にする直接的な証拠にはたどり着いていないが,両系統のマウスで著しい変化が起きていることを明確にすることができた.
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Research Products
(1 results)