2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590407
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
安達 禎之 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (60222634)
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Keywords | βグルカン / 真菌細胞壁 / 深在性真菌症診断 / βグルカン認識タンパク |
Research Abstract |
(1→3)-β-D-ルカンBGは主に真菌細胞壁に含まれる多糖体である。BGは免疫賦活活性を有し、抗悪性腫瘍薬として臨床応用されている。また、深在性真菌症診断における重要な血中マーカーでもある。特異性が高く、簡便なBG検出法を開発する目的で、無脊椎動物である昆虫のβ-グルカン認識タンパク(BGRP)に着目し、その構造特異性を検討した。 数種類の昆虫の幼虫よりRNAを抽出し、RT-PCRによりBGRPのcDNAを得た。発現ベクターに挿入し、大腸菌または293T細胞での発現により各BGRPを得た。各種BGへの結合活性は、固相化BGにBGRPを反応させ、HRP標識2次抗体の結合により評価した。評価したBGRPのうち特に結合特異性の異なった二種類のBGRPについて更なる検討を行った。アルカリで前処理し、高次構造を変化させたBGや、(1→6)-β-D-グルカンとの結合性を評価した。また、これらBGRPを用いて各種BGの測定を行った。 本研究で作成したBGRPのアミノ酸配列は互いに高い相同性を有していた。抗腫瘍性BGのソニフィラン (SPG)への結合特異性に基づき、BGRPは二種類に大別できた。SPGに結合した鱗翅目由来のB-BGRPはSPGのアルカリ処理後に結合しにくくなり、SPGに結合しなかった鞘翅目由来のT-BGRPはアルカリ処理SPGと結合した。 以上の結果から今回作成したBGRPにはSPG結合性に違いがあることがわかった。これらのBGRPの結合性がSPGのアルカリ処理で変化することから推測されるようにBGの高次構造の違いをBGRPが認識することを示唆している。また、BGRPの結合性の違いを用いて、起源や構造の異なるBGを特異的に識別できる可能性が示された。
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Research Products
(4 results)