2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590407
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
安達 禎之 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (60222634)
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Keywords | β-グルカン / 真菌細胞壁 / 深在性真菌症 / β-グルカン認識タンパク / イムノクロマトグラフィー |
Research Abstract |
【目的】(1→3)-β-D-グルカン(BG)は主に真菌細胞壁に含まれる多糖体である。BGは免疫賦活活性を有し、抗悪性腫瘍薬として臨床応用されている。また、深在性真菌症診断における重要な血中マーカーでもある。特異性が高く、簡便なBG検出法を開発する目的で、無脊椎動物である昆虫のβ-グルカン認識タンパク(BGRP)に着目し、その構造特異性を検討した。前年度のELISA法によるBGRP結合結果を参考にイムノクロマトグラフィー(IC)法の構築を行なった。 【方法】 3種類の昆虫の幼虫より得たBGRPのcDNAを発現ベクターに挿入し、大腸菌及び293T細胞での発現により各BGRPを精製した。まず、金コロイド標識法によりBGに結合したBGRPを可視化し、固相化BGにBGRPを反応させ結合性を評価した。次に、ビオチン標識BGRP-Fcを作製し、ストレプトアビジンペルオキシダーゼと発色基質との組み合わせにより高感度検出系の作成を試みた。評価したBGRPのうち特に結合特異性の異なった2種類のBGRPについて特異性の再現を行った。 【結果】抗腫瘍性BGのソニフィラン(SPG)への結合特異性に基づき、BGRPは2種類に大別できるが、SPGに結合した鱗翅目由来のB-BGRPはSPGのアルカリ処理後に結合しにくくなり、SPGに結合しなかった鞘翅目由来のT-BGRPはアルカリ処理SPGと結合した。またBGの分岐度の違いによって、B-BGRPとT-BGRPの反応性が異なることが示された。金コロイド標識法では、十分な感度が得にくかったが、ビオチン標識BGRPの結合でng/mlオーダーの検出が可能になった。 【結論】以上の結果から今回作成したBGRPにはBGの分岐度と高次構造の違いで反応性が大きく異なり、BGの3重らせん構造への反応性が高いことがわかった。血中標的物質を検出するための前処理法によっては反応性が大きく異なることが明らかになった。次年度は血中検体の検出が可能であるか、その測定条件も含め動物モデルなども用いて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BGRPの作製法の確立、各種BGの反応特異性の再現、高感度検出を目的としたBGRP標識など、ほぼ計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウス、dectin-1KOマウス、及び補体受容体KOマウスを用い、精製多糖体、菌体(生菌、死菌)投与による感染モデルマウスを作製する。経時的部分採血により得られた感染マウス血中の遊離BGを検出する。本検出には可溶型dectin-1、23年度の検討で候補となった昆虫由来BGRP及びマウスBG mAb、を用いて検出感度及び特異性の比較を行い、高感度、高特異性検出法としての有用性を評価する。
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Research Products
(2 results)