2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリの持続感染成立における菌の代謝酵素アスパラギナーゼの関与
Project/Area Number |
22590410
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
柴山 恵吾 国立感染症研究所, 細菌第二部, 部長 (50283437)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ピロリ菌 / アスパラギナーゼ / 代謝酵素 / 病原性 / 感染成立 / アスパラギン取り込み / 免疫回避 / 胃がん |
Research Abstract |
H24年度のまとめ 慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの患者からヘリコバクターピロリを分離し、それぞれの菌株のアスパラギナーゼ活性の測定を行って病態とアスパラギナーゼ活性と相関を調べた。また同時に、類似の活性をもつガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の活性についても病態のとの相関を調べた。胃がん患者由来の菌株では、慢性胃炎、及び胃潰瘍患者由来の菌株と比較してGGTの活性が有意に高かった。アスパラギナーゼの活性は、株によりバラツキが大きく、病態との間に有意な相関は認められなかった。アスパラギナーゼとGGTの活性が炎症を起こすのに関与しているかどうかを調べるために、それぞれのタンパクの欠損株を作成し、AGS細胞に感染させてIL-8の産生の違いを調べた。GGTの欠損株では親株と比較してIL-8の産生が有意に少なかった。アスパラギナーゼの欠損株では有意な差は認められなかった。親株をAGS細胞に感染させ、同時にグルタミンを添加したところ、IL-8の産生は有意に低下した。このことから、IL-8の産生はGGTの作用によるグルタミンの枯渇に伴うものであることが分かった。これらのことから、GGTは胃がんの形成に関与していることが示唆された。 3年間のまとめ ヘリコバクターピロリのアスパラギナーゼは、宿主細胞に対して細胞毒性を示し、胃への定着に重要な役割を果たしていることが分かった。ヘリコバクターピロリはアスパラギンを取り込むトランスポーターをもっておらず、ペリプラズムでアスパラギナーゼの作用でアスパラギンをアスパラギン酸に変換し、アスパラギン酸トランスポーターで取り込んでいることが分かった。アスパラギナーゼは、菌にとって重要な代謝酵素であると共に、感染成立に必要な病原因子であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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