2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染応答の新規制御メカニズム:SUMO修飾を介した情報伝達経路の活性化
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22590424
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
久保田 耐 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (10274929)
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Keywords | ウイルス / 自然免疫 / タンパク質翻訳後修飾 / SUMO化 |
Research Abstract |
ウイルス感染細胞では、ウイルスの排除やウイルスの拡散防止を目的とした様々な対応反応の誘導がみられる。一度TLRやRLRなどの病原体認識受容体群にウイルス感染が細胞に感知されるとウィルス感染に対抗するためのエフェクター遺伝子の発現が上昇する。これらの遺伝子発現を誘導するために、病原体認識受容体はその下流の情報伝達系の活性化を引き起こす。このような情報伝達系に関わる細胞因子はウイルス感染に応答して転写レベルで制御されているものばかりではなく、非感染細胞でも発現されているが、情報伝達能が抑制されており、ウイルス感染により活性化型に変換されることにより情報伝達能を獲得するものも多い。このような不活性型から活性化型への変換の多くは、リン酸化、ユビキチン化、アセチル化などのタンパク質翻訳後修飾を伴う。SUMOタンパク質もそのような翻訳後修飾因子の一つであり、ウイルス感染応答の一つであるI型インターフェロン遺伝子の転写活性化には細胞内の何らかの因子のSUMO化必須であることが明らかになっている。本研究ではタンパク質のSUMO化修飾に焦点を当て、TLRやRLR下流の情報伝達因子のうちSUMO化修飾をうける因子の検索を行った。その結果、TBK1、IKKε、及びTANKの3つのタンパク質がSUMO化修飾を受けること、またこのうちTANKについてはウイルス感染細胞で特異的にSUMO化修飾が上昇することが新たに明らかになった。TANKのSUMO化部位を特定し、SUMO化修飾を受けない変異体を作成してその効果を検討したところ、TANKのSUMO,化修飾はNFkB依存的なサイトカインの産生抑制に関わることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SUMO化修飾因子の検索を行い、新規非修飾因子を検出するとともに、その就職部位を特定し、SUMO化されない変異体の作成にも成功している。当初の目的ではまずウイルス感染に応答してSUMO化修飾を受ける因子の検出を試みることであったが、この点に関してはすでに完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きウィルス感染応答によるTANKのSUMO化修飾の意義について検討していく。
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