2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトメガロウイルスの細胞指向性、個体での病態、防御抗体誘導に関する研究
Project/Area Number |
22590426
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
井上 直樹 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (90183186)
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Keywords | サイトメガロウイルス / アデノウイルス / モルモット / 中和抗体 / 感染防御 / 糖蛋白 |
Research Abstract |
我々は、唯一の先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染の小動物モデルであるモルモットCMV(GPCMV)について、線維芽細胞での増殖に不要だが個体での増殖には必須な1.6kb遺伝子領域を同定し、この領域がウイルス粒子構成糖蛋白として細胞指向性に関与するとともに中和の主要な標的となると報告されたヒトCMV UL128及びUL130蛋白に相同性を有する蛋白をコードすることを、これまでに明らかにしてきた。本研究では、これらのGPCMVホモローグの解析を通して、UL128及びUL130について、1)その細胞指向性決定の詳細な分子機序、2)個体での感染及び病態における役割、及び3)サブユニットワクチン候補としての可能性を明らかにする。本年度の研究成果としては、1)個体で増殖可能なGPCMVの全ゲノム配列を決定した。2)UL128,UL130,gH,gL,gO,gBなどのGPCMVホモローグを発現する組換えアデノウイルス(rAd)を構築した。3)蛍光蛋白発現組換えGPCMVを作製し、簡便に中和抗体を測定する方法を確立した。4)モルモットをgB発現rAdで免疫することにより、自然感染と同レベルの中和抗体が誘導され、GPCMV感染に伴う体重減少や感染の最終臓器である唾液腺でのウイルス検出が抑制されることを明らかにした。5)UL130ホモローグ発現rAd単独の免疫では、中和抗体の誘導は見られなかったため、分泌型での発現や他の蛋白との共発現を検討する必要が示された。一方、計画通りに運んでいない内容としては、1)モルモット内皮及び上皮細胞株の樹立を試みたが、長期培養に耐える株を得られていないこと、2)完全長の野生型GPCMV BACの構築を行っているが完了していないことがあり、現在、アプローチを変えてさらに検討している。
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