2011 Fiscal Year Annual Research Report
Rab蛋白質と関連宿主因子によるHIV-1細胞内輸送システムの解明
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22590427
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
村上 努 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 室長 (50336385)
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Keywords | Rab蛋白質 / HIV-1 / 細胞内輸送 / 粒子形成 |
Research Abstract |
HIV-1粒子の主要な構造タンパク質であるGagタンパク質や、宿主細胞表面のレセプターに結合することでウイルスの侵入に関与するEnvタンパク質のウイルス形成部位への輸送や、その分解がどのような宿主因子によって制御されているかについては不明な点が多い。そこで本研究では、エンドサイトーシスやエキソサイトーシスといった細胞内小胞輸送を担うRabタンパク質に着目した。H23年度は、主にRabllaのHIV-1粒子形成への関与の可能性を想定し、検討した結果を報告する。Rabllaの発現抑制や機能阻害における、HIV-1粒子形成への影響を検討した。293T細胞において、shRNA導入により内在性Rabllaタンパク質のノックダウン、またはRabllaの野生型(WT)およびドミナントネガティブ変異体(DN)を一過的に過剰発現した細胞を作製した。引き続き細胞にHIV-1分子クローンを導入し、ウイルスタンパク質産生やプロセッシング、ウイルス粒子への敢り込みをウエスタンブロッティングによって解析した。また、ELISA法によりウイルス放出量の測定、TZM-b1細胞を用いた感染価の測定も行った。内在性RabllaのノックダウンおよびRablla DN過剰発現の両方において、Gagのプロセッシングやウイルス放出量に影響は見られなかった。一方で、Envのプロセッシングおよびウイルス粒子への取り込みの低下が認められ、産生ウイルスの感染価が低下した。低下した感染価はVSV-Gpseudotypeによって回復が認められた。したがって、RabllaがEnvのプロセッシングまたは輸送に関与することによってEnvのウイルス粒子への取り込み量を制御し、感染性HIV-1の粒子形成において一定の役割を演じている可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験結果についての再現性を確認するために予想以上に時間が必要であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
RabllaのHIV-1 Env蛋白質のprocessingや輸送への関与についてEnv蛋白質の細胞内局在や細胞表面への輸送への影響を中心に解析する。Rab7とその関連蛋白質については主にRab7を恒常的にノックダウンしたT細胞株を使用してHIV-1複製への影響を検討する。
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Research Products
(3 results)