2011 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1Vpu蛋白の抗ウイルス宿主因子BST-2に対する抑制機序の解明
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22590428
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
徳永 研三 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (50342895)
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Keywords | HIV-1 / Vpu / BST-2 / 宿主因子 |
Research Abstract |
Vpuによる細胞表面BST-2/tetherinのdown-regulationに関するメカニズムについては未だ明らかにされていない。これまでに我々は、Vpuがその膜貫通(transmembrane;TM)領域を介してBST-2とTM-to-TMによる相互作用を行っていることを明らかにし、更にVpuTMのみではBST-2には結合できるものの、抗BST-2活性を有しないことを明らかにしてきた。このことからVpuの抗BST-2活性には、TMのみならず、細胞質内(cytoplasmic tail;CT)領域も重要で、このCT領域に既知の宿主蛋白βTrCP以外の未知の宿主コファクターが相互作用してBST-2のdown-regulationに関与している可能性が考えられる。昨年の免疫沈降実験においてIgG heavy/light chain(55kDa、25kDa)付近に存在する候補蛋白を見過ごした可能性を考慮して、今年度はVpuにHaloTag^<TM>を付加させた発現ベクターを作製して抗体フリーの方法であるHaloLink^<TM>Resinを用いた沈降法によるcofactor検索を試みた。HaloTag付加型のβTrCP結合不全変異体(2/6)またはCT欠損変異体(ΔCT)Vpu発現ベクターを作製してHeLa細胞にトランスフェクトした後に免疫沈降反応を行ったが、Vpu結合蛋白の収量が不十分であった。その改良型として恒常発現系で行うべくレンチベクター版を作製し、293T細胞にトランスフェクトして大量調製したベクターウイルスを用いてHeLa細胞へのトランスダクションを行った。その後、細胞を溶解してHaloLink Resinを加えて免疫沈降反応を行った。免疫沈降物を精製して二次元電気泳動を行い、Cy3/Cy5染色によるスポット比較を2/6及びΔCTVpu間で行った。その結果、2/6Vpuにおいて有意に結合していると考えられる候補蛋白70種類ほどをピックアップした。現在ハイスループツト型MS解析により同定中である。したがって候補蛋白の同定に引き続いて行う予定であった、Vpuとの間接的あるいは直接的結合能の検討、Vpuとの共局在性の検討、または候補蛋白によるVpuのユビキチン化の検討、等の実験は次年度へ持ち越しとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では、Vpu結合蛋白候補が同定された後に機能解析へと展開していく予定であったが、スクリーニングが完了していないため、それらの実験は次年度へ持ち込しとなった。しかしながら、今回樹立した改良型実験系については、今後幅広い応用が可能であるという点において非常に満足いく結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、当初トランスフェクションによるVpu発現を試みていたがHeLa細胞における遺伝子導入効率に限界があり、Vpu結合蛋白のトータル収量が不十分であった。そのため、蛋白発現方法をトランスフェクションによる一過性発現系からレンチベクターによる恒常発現系にシフトすることでより多くのVpu結合蛋白を回収することを試みた結果、量的な問題を克服することができた。その一方でトラブルシューティングによる時間的なロスも大きかった為、残り一年間の研究期間で、当該研究計画を遂行すべく、候補蛋白が同定でき次第、全てのアッセイ系を同時進行させていくつもりである。
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[Journal Article] Identification of SNF2h, a Chromatin-Remodeling Factor, as a Novel Binding Protein of Vpr of Human Immunodeficiency Virus Type 12011
Author(s)
Taneichi, D., Iijima, K., Doi, A., Koyama, T., Minemoto, Y., Tokunaga, K., Shimura, M., Ishizaka, Y.
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Journal Title
J.Neuroimmune Pharm.
Volume: 6
Pages: 177-87
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Intrinsic restriction activity by apolipoprotein B mRNA editing enzyme APOBEC1 against the mobility of autonomous retrotransposons2011
Author(s)
Ikeda, T., Abd El Galil, K., Tokunaga, K., Maeda, K., Sata, T., Sakaguchi, N., Harada, S., Heidmann, T., Koito, A.
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Journal Title
Nucleic Acids Res
Volume: 39
Pages: 5538-54
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Epigenetic displacement of HP1 from heterochromatin by HIV-1 Vpr causes premature sister chromatid separation2011
Author(s)
Shimura, M., Toyoda, Y., Iijima, K., Kinomoto, M, Tokunaga, K., Yoda, K., Yanagida, M., Sata, T., Ishizaka, Y.
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Journal Title
J.Cell Biol.
Volume: 194
Pages: 721-35
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Infectivity of HIV-1 Subtypes Isolated from Ghanaian Patients2011
Author(s)
Nii-Trebi, N., Kinomoto, M., Brandful, J., Barnor, J., Tatsumi, M., Sata, T., Ampofo, W., Osei-Kwasi, M., Tokunaga, K.
Organizer
WSU Joint International Conference
Place of Presentation
East London, South Africa
Year and Date
20110900
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