2011 Fiscal Year Annual Research Report
SOCS1による濾胞性ヘルパーT細胞の分化及び機能制御の解明
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22590438
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森田 林平 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00362541)
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Keywords | 抗体産生 / 免疫学 / Treg / Th17 / SOCS1 / IFN-γ |
Research Abstract |
SOCS欠損T細胞を用いた解析によりSOCS1欠損TregではFoxp3が急速に失われ、メモリーやエフェクターへと転換することを見いだした。このSOCS1欠損マウスではIgAをはじめ血清中の抗体価が上昇しCXCR5陽性細胞数も増加している。更にTreg特異的SOCS欠損マウスを解析したところ、脾臓や胸腺でnTreg細胞が増加しているにも関わらず、皮膚炎や高ガンマグロブリン血症等のSLE様の症状を呈することを認めた。さらにin vitroおよびin vivoの移入実験によって、SOCS1欠損TregはFoxp3を失い、自らIFN-γやIL-17を産生するエフェクター細胞(exFoxp3細胞)として自己免疫様疾患(Rag欠損マウスへの移入の場合は炎症性腸疾患)を誘発することをつきとめた。このexFoxp3細胞ではSTAT1やSTAT3が過剰に活性化しており、IFN-γやSTAT1の欠損によってexFoxp3細胞の出現は抑制された。よってSOCS1はTregにおいてFoxp3の安定性及びIFN-γへの耐性を付与し、exFoxp3への転換を抑えていることが明らかとなった。一方、Rag欠損マウスへのナイーブT細胞との共移入の系でIFN-ySOCS1両欠損nTregは腸炎を抑制できなかった。このIFN-ySOCS1両欠損nTregではSTAT3の活性は高く維持されておりIL-17の産生が認められた(Takahashi R.et al.J.Exp.Med.2011)。以上の結果よりSOCS1はSTAT1を制限してFoxp3の消失やIFN-γの産生を抑制しているのみならず、STAT3の過剰な活性化を抑制しIL-6やIL-17などのSTAT3下流のサイトカインの産生も抑制していることが示唆された。これらの結果はSOCS1がnTerg細胞の重要な守護神であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りTreg特異的SOCS欠損マウスの解析が完了し、SOCS1がnTreg細胞の維持に重要であることを証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によりSOCS1の欠損、そしてそれによりもたらされるSTAT1やSTAT3の活性化よりTreg細胞がエフェクターT細胞に変換することが明らかとなった。これらの成果は胸腺でのnTreg細胞の分化・発生の分子機序の解明につながると共に、SOCS1の発現を制御することで一度分化したT細胞を他のエフェクターT細胞やTreg細胞にリプログラミング出来る可能性を示唆している。そこで今後はSOCS1の過剰発現及びJAK阻害剤によりエフェクターT細胞をTreg細胞に変換する方法の開発を目指す。
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