Research Abstract |
本研究のResearch Questionは「学童を核とする予防対策は地域のインフルエンザ流行伝播を抑止するか?」である。具体的には学級閉鎖時の外出,手洗い,うがい等の実践,予防接種,受療などの児のインフルエンザシーズンの生活行動パターン解析により,流行阻止に効果的な生活行動変容を検討し,それらの行動変容介入が地域の流行伝播に及ぼす効果を,semi-closed環境の離島における独自の発症登録システムを活用して明らかにすることを目的としている。 平成22年度は,対象を学童のみから園児・学童に拡大し,2009-2010の新型インフルエンザパンデミックにおける児のワクチン接種,手洗い,学級閉鎖時の外出抑制等の予防行動実施状況とその発症予防効果を明らかにすることを試みた。研究方法は,佐渡市内にある幼稚園・保育園,小学校に通園・通学中の全園児・学童計4,853人の保護者を記載者とする無記名調査票である。インフルエンザ発症の有無,型,ワクチン接種の有無,主な予防行動実施状況,学級閉鎖の有無,閉鎖時の外出状況等を含む調査票を各児1部ずつ保護者に配布し,回収(回収率91%),集計解析した。その結果,新型インフルエンザワクチンは有効であり,ワクチン接種により発症リスクが3~5割低下すること,「こまめな手洗い」には発症予防効果が認められるが,ワクチン非接種の場合の有効性は明らかではなく,ワクチン接種と組み合わせると効果が得られる可能性が示唆された。また学級閉鎖時にも児の3割がショッピングセンターや塾などの外出を行っている実態が明らかとなり,閉鎖中の外出抑制に関する指導の徹底が重要と考えられた。本研究成果は,行動変容介入実践ツールの開発及び改良に向けて貴重な基礎資料となった。また発症登録による発症マップのWeb公開システムをより効果的な情報提供が可能となるよう改良した。
|