2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模離島インフルエンザ発症登録システムの活用による学童の流行期生活行動変容効果
Project/Area Number |
22590458
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関 奈緒 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30270937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 玲子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30345524)
佐々木 亜里美 新潟県立大学, 人間生活学部, 准教授 (30567269)
田邊 直仁 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (40270938)
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Keywords | インフルエンザ / 流行防止 / 学童 / 園児 / 行動変容 / GIS / 発症登録 |
Research Abstract |
本研究は,Semi-closed環境の離島(佐渡)における独自の発症登録システムおよび全学童を対象とした罹患・予防行動調査(以下,学童調査)の活用により,学童に対するインフルエンザ流行期の予防行動介入効果を解析し,「学童を核とする予防対策(学校・学級閉鎖,ワクチン接種,行動変容)が地域の流行伝播を抑止するかを明らかにするとともに地域における有効な流行防止対策を検討することを目的としている。 平成23年度は,2010-11シーズンにおける発症登録システムと学童調査による発症状況を比較し,情報の精度評価を行うとともに,インフルエンザ流行状況のデータ蓄積およびインフルエンザワクチンの発症予防効果の検討を行った。まず学童調査の回収率は92%と高く,本調査から把握した発症数と医療機関による発症登録システムにより把握された学童の発症数の差はわずか11例(1.7%)であったことから,我々の発症情報把握は精度が高く,地域の流行対策を十分検討しうると評価した。発症登録システムによる流行状況(全世代含む)は,第3週~第17週までA型が50例/週以上発症し続け,第15週以降B型の中規模流行が起こるというものであった。学童のワクチン効果に関しては,A型のみ個人の発症予防効果が認められた(相対危険度0.79,95%信頼区間0.66-0.93)。さらに前年度の研究で明らかとなった学童における効果的な予防行動をもとに,行動変容介入の第1段階として佐渡市教育委員会,佐渡市福祉保健部,および佐渡市内の中核医療機関との連携により作成した情報提供シートを2011-12シーズン直前に全学童の保護者に配布した。本介入効果は2011-12シーズン終了後(平成24年5月以降)に評価を実施する計画である。また最終年度に予定している経年データに基づく地域における流行防止対策の検討に向けて基礎データの蓄積も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在インターネット上のWeb Pageにて公開している発症登録システムを携帯電話でも簡単に閲覧できるよう改良し,予防行動介入のデジタルツールとして活用する予定であったが,スマートフォンの予想以上の普及によりスマートフォン対応を考慮する必要がでてきたことから,2011-2012シーズンまでに実現に至らず,当該シーズンは紙媒体による介入にとどまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は2010年度に開始されたが,2010年の抗インフルエンザ剤新薬(ラニナビル:商品名「イナビル」およびベラミビル:商品名「ラピアクタ」)発売により,本研究の重要な検討課題である受療行動および欠席日数等の児童の日常生活行動がこの2シーズシで大きく異なってきた可能性が高く,予防行動介入による行動変容効果を解析する上で強く影響することが予測される。従って今後の研究推進に向けて,医療機関における薬剤の使用実態や学童の行動変容と薬剤との関連を十分考慮する必要がある。その対策として2011-2012シーズンの発症登録調査(医療機関調査)では使用薬剤データの収集を開始している。また平成24年度の学童調査ではこの点に焦点をあてた質問項目を追加して調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)