2010 Fiscal Year Annual Research Report
患者中心の医療と患者満足度、アドヒアランス、そして健康アウトカムの関連
Project/Area Number |
22590466
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹村 洋典 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00335142)
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Keywords | 医療・福祉 / 行動科学 / 危機管理 / 解析・評価 |
Research Abstract |
本研究は、これまで申請が行ってきた研究を基盤に、患者中心の医療が、患者満足度、アドヒアランス、そして健康アウトカム(血圧、コレステロール値、HbA1C値、尿酸値、不眠の度合いなどの改善度)に与える影響を、明らかにするのが目的である。 平成22年度は、三重県の大学病院、総合病院、診療所などの559人の患者を対象にデータを集めることができた。患者満足度や主治医の患者中心度を調査票の回答によって、アドヒアランスは服薬する薬のピルカウントによって、また、血圧や血液検査データなどの健康アウトカムは診療録からデータを得た。 これまでのデータで解析してみると、患者中心度の高い診療は、患者満足度を向上させるが、アドヒアランスには、これまで調べた範囲では影響を与えなかった。また、健康アウトカムについては、患者中心の医療を行っている医師のほうが、高尿酸血症の改善度は、予想に反して悪くなっていることが分かった。高尿酸血症の患者については、父権的な医師のほうが、尿酸値の改善に影響している可能性が示唆されている。その他の健康アウトカムについては、医師の患者中心度は寄与していなかった。さらに、アドヒアランスの良否は、脂質代謝異常症のみ正の相関があり、その他の健康アウトカムには有意な相関がなかった。脂質異常症の服薬指導の重要性が示唆された。 上記の関連について、さらに対象数を増やしてパワーを増加し、次年度、これらの関係を明らかにする必要があろう。また、今年度、エンドポイントとして改善度を使用したが、これをさらに違った指標に変えてみることも考慮すべきと思われる。
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