2011 Fiscal Year Annual Research Report
患者中心の医療と患者満足度、アドヒアランス、そして健康アウトカムの関連
Project/Area Number |
22590466
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹村 洋典 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00335142)
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Keywords | 医療・福祉 / 行動科学 / 危機管理 / 解析・評価 |
Research Abstract |
平成22年度に引き続き平成23年度も、大学病院、地域の病院、診療所等の患者から、アンケートによって医療の患者中心度と患者満足度、また診療録の調査から服薬コンプライアンスや血圧、LDLコレステロール、HbA1c、尿酸値などの健康アウトカムを調査した。さらに、睡眠に関してもピッツバーグ睡眠質問票によってその量や質を調査した。また、アウトカムに交絡すると考えられる様々な因子のうち、測定方向が存在していなかった医師の連携度を評価する調査票構築に向けて質的、量的な調査も行った。以上の結果、患者中心度の高い医師の診療を受けることによって、尿酸値など、一部の健康指標には陰性の影響が加わることが分かってきた。また、脂質異常症については、陽性の影響がある可能性も示唆された。これらの調査によって、印象としてよいと思われていた患者中心性の高い医師が診ている患者において、その患者の健康に与える影響は、疾患によって陰性にも陽性にもなることが明らかになってきた。ただし、医師の患者中心性は、常に患者満足度を向上することもわかってきた。 以上のように、これまで、海外で有用性が認められていた患者中心の医療が、日本においては、疾患によって与える影響が異なることが分かり、患者中心の医療の今後の臨床への適応において、何を目的とするか、考える必要が出てきた点で、非常に意義深いと考えられる。 この調査は、今後、日本のみならず、海外においても患者中心の医療の良否のエビデンスを与えるランドマーク研究となる可能性が高く、また今後のさらなる調査の必要性を増大させた点で、非常に重要性のある研究となったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、さまざまな医療施設の外来患者から患者中心度、患者満足度、服薬コンプライアンス、健康アウトカム(血圧、LDLコレステロール、HbA1c、尿酸値、など)などのデータを得ることができた。さらにアウトカムに交絡する可能性のある因子のうち、測定ツールがなかった医師の連携度を調査するための調査票の開発も同時に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、さらにデータをとりうる施設が数か所あり、来年度のはじめ数か月カ月間はこの調査を続行する予定。その後、この調査研究の結果をまとめて、論文作成にかかる。さらに本調査と関連する研究をおこなった研究者とともにこの調査結果にかかわるシンポジウムを開催して、広く全国の研究者とともに、この研究結果の共有を図る。
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