2013 Fiscal Year Annual Research Report
地域におけるプライマリ・ケアの提供体制としてのグループ診療の優位性に関する研究
Project/Area Number |
22590479
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
寺崎 仁 横浜市立大学, 大学病院, 准教授 (90227512)
|
Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2015-03-31
|
Keywords | 医療提供体制 / プライマリ・ケア / グループ診療 / 診療所連携 / 在宅療養支援 |
Research Abstract |
平成25年度の研究活動は、5月に仙台で開催された第4回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会において、シンポジウムの開催を中心に取り組んだ。同連合学会学術大会の日程が、5月中旬という研究年度当初に設定されているため、前年度の後半にワーキンググループを学会内に立ち上げて、会議等においてシンポジウムの企画を検討してきた。 その結果、今年度の学術大会においては、シンポジウムのテーマをフランスの在宅入院制度に焦点を当て、『日本版「在宅入院」は多死時代における在宅看取りの光となるか-フランスの「在宅入院制度」を考察する-』と題して行うことになった。その背景としては、多死時代に向けた看取りの場としての小規模入院施設である有床診療所の新たな活用と、フランスで行われている「在宅入院制度」のわが国への適用について考察する必要があると考えたからである。 一方で年度後半には、次回の第5回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に向けた準備に取り掛かり、次年度は本研究テーマによる研究計画期間の最終年度に当たるため、それに相応しい総括的な内容を意識した企画を検討することになった。そこで、改めて地域におけるプライマリ・ケアの提供基盤の充実・強化のために、複数医師の体制による診療所医療を実現するためには、医療政策等において何が重要視されるのかを議論することとした。そこで、医療政策としてプライマリ・ケアを強化した取り組みを行っている国や地域を、参考事例として取り上げることが話し合われ、英国やフランス、及び米国の実情について調査することとなった。 また並行して、学術大会でのシンポジウム枠確保のための活動も行う必要があり、企画応募を行った結果、学術大会2日目午後に90分のシンポジウム枠を確保することができた。また、シンポジストとして英国の現役のGPの招聘に向けて折衝を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究の活動計画としては、第一にわが国の地域におけるプライマリ・ケアを実践している専門家集団である「日本プライマリ・ケア連合学会」において、地域におけるプライマリ・ケアの提供基盤の充実・強化のための方策として、複数医師の体制で取り組む「グループ診療」の普及啓発を進めることであり、同学会の学術集会において3回連続で独自のシンポジウムを開催してきたことは大きな成果と考えたい。特に、今年度の成果を踏まえて、研究計画の最終年度である次年度には、研究総括に充てるべく国際的なシンポジウムを企画しており、プライマリ・ケアの充実・強化のためにグループ・プラクティスを医療政策として推進している英国から、現役の開業医(GP:General Practitioner)を招聘する目途が付いたところである。また、フランスの医療の実情に詳しい第一線の研究者、それに米国で長年にわたり家庭医として活躍してきた日本人医師などの協力も得られる見込みであり、研究計画の最終年度に向けた活動は、当初の目標を上回る内容で進行しているものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当研究課題の推進方策は、日本プライマリ・ケア連合学会の公認のワーキンググループとして活動できることを最大限活用し、毎年開催される学術集会においてシンポジウムなどを開催して、会員に向けたグループ診療の利点などを啓発することに努めたい。そして、地域におけるプライマリ・ケア体制の基盤強化につながるよう、複数医師による診療所医療の普及と、制度面での支援などについても学会の提言などとして、社会に向けて発信することも行っていきたい。また、諸外国の事例を参考にしながら、グループ診療を含めてどのような方法で在宅医療の提供基盤の強化に取り組んでいるのか調査研究を進めて行くことも検討すべきと考えている。次年度は研究計画の最終年度にあたるので、今後さらに研究を継続できるような準備にも取り組む必要があり、研究申請の方策についても着手する予定である。
|
Research Products
(5 results)