2012 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球製剤の有効期間を6週間に戻すことの医学的、社会的意義
Project/Area Number |
22590486
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田崎 哲典 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80285626)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 輸血副作用 / 血液製剤 / 細菌汚染 |
Research Abstract |
血液製剤は献血者の善意の賜物である。国内自給は国策であり、高齢社会、新型インフルエンザなど感染症パンデミック、大震災の脅威が叫ばれる中、貴重な血液をムダにはできない。しかし、報告では本邦の血液製剤の廃棄率は平均約2%で、原因の一つが有効期限切れである。赤血球製剤は現在3週間保存であるが、過去には一時期MAP液の導入で6週間であった。短縮された理由は細菌汚染の問題であるが、それを6週間に戻せれば、廃棄が減少することは明らかである。本研究の目的は、血液の汚染のリスクを正しく評価することで、製剤管理の高度化、救済制度の導入、社会的な必要性を背景に、6週間保存への可能性を探ることである。これまでの検討で輸血用血液中の細菌汚染はほぼゼロに等しいことを示した。最終年では汚染のリスクが高いと思われる検体(下痢症状を呈した人、副作用のため輸血部に返却された血液、院内で分割調整した製剤、輸血フィルターを装着したままの血液、バッグ破損の血液など)を計50件、好気・嫌気培養を行ったが、全て陰性であった。血液製剤の細菌汚染の頻度は、文献的に32.4/100,000単位で、最も高いとされる成分採血血小板製剤で1/1,881単位という。従って、健常人では相当数の検体を検査しないと陽性例はで出ないだろうし、下痢などの感染症を有する人でも、数百人規模の検討が必要であろう。単独の特定機能病院で検査するには限界があり、寧ろ消化器症状を呈する患者の多い複数の一般病院が共同で研究すべきテーマともいえる。それが全て陰性でも100%安全はあり得ず、微生物の除去や不活化など科学の力が必要である。当院の赤血球製剤の廃棄は昨年度212単位で、84単位(39.6%)が期限切れであった。全国では相当な経済的損失である。社会背景を考慮した対応が求められる時がきたとき、速やかに移行できるよう準備を疎かにすべきではないと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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