2010 Fiscal Year Annual Research Report
産科勤務医不足対策のための労働と賃金バランスに関する研究
Project/Area Number |
22590496
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Research Institution | Okazaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
米本 倉基 岡崎女子短期大学, 教授 (10390048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真野 俊樹 多摩大学, 統合リスクマネジメント研究所, 教授 (20327886)
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Keywords | 医師不足対策 / 産科医不足 / 医師キャリア / 医師賃金 / 医師労働 / 医師開業医 |
Research Abstract |
本年度は、わが国と欧米先進国の医師のキャリアとその報酬水準を比較し、政策について検討し、その研究成果はノートとして学会誌に論文発表した。具体的には、報酬水準の比較は、先行研究にならって、主にOECDによるデータを基に、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの4カ国を対象に、職務形態である専門医と総合医の別、雇用形態である自営医と勤務医の別に日本の勤務医と開業医との間で行った。その結果、自営総合医である日本の開業医の報酬は、著しく高い水準にあること、それに対して日本の勤務医の報酬は低い水準であることが確認され、報酬格差は、転出の理由となっていることが示唆された。しかし、開業医の高い報酬水準は、比較的軽装備、小資金でグループ開業できる欧米の自営総合医と違い、多額の個人の負債による単独、かつ重装備で開業せざるを得ない日本の開業医の事情を考えれは、初期投資に対する借入金返済後の可処分所得でみると著しく高いとは断言できず、よって、わが国の開業医の報酬の在り方は、直ちに開業医の報酬水準を下げるのではなく、稼働率の低い医療機器などの開業コストを見直す政策を優先すべきであるとの結論を得た。他方、勤務医の報酬水準は高める見直しをする必要があるとし、その条件として過重労働とされる産科、小児科、外科、麻酔科などに従事する病院勤務専門医への報酬加算が、各病院の年功序列型の賃金制度や未整備の評価制度など、硬直的な人事制度に阻害され、本来増額されるべき該当医師に適切に支給されない可能性を、日医総研による調査結果を根拠に示し、経営施策として医師の人事考課制度構築が必要であるとの結論を得た。
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Research Products
(2 results)