2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生可視化マウスの作成と新規抗腫瘍血管剤評価系の確立
Project/Area Number |
22590501
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 博文 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70321635)
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Keywords | 血管新生 / メッセンジャーRNA / 3'非翻訳領域 / VEGF |
Research Abstract |
生体において血管新生は、個体発生から炎症反応や腫瘍形成にいたるまで重要なイベントと考えられている。その様子を観察するためには、組織切片を作成し、血管内皮特異的抗体を用いた免疫組織染色によって血管を検出することが一般的であるが、同一個体サンプルで経時的にダイナミックな変化を観察することは困難である。そこで我々は、血管新生において中心的な働きをする血管内皮増殖因子(VEGF)によって発現誘導される遺伝子ZF50の発現調整機構を解析したところ、そのメッセンジャーRNAの安定性の増強が発現調整機構の中心的役割を果たしていることが明らかとなった。特にそのメッセンジャーRNA3'末端側の非翻訳領域(3'UTR)がその安定性に重要であったことも同時に分かったために、この領域を用いた血管新生可視化プローブの作製についての準備を進めた。まず、VEGFによるメッセンジャーRNA安定化についてより理解を深めるために、その領域に結合し安定性に関わる分子の解析を行った。この3'UTRを合成して血管内皮細胞溶解液と混合し、3'UTRに結合する分子を質量分析計にて同定した結果、数種類のタンパク質分子が得られ、その中でもVEGF刺激によって結合が増強するシャペロン分子を見出した。このことからこのシャペロン分子が結合しうる領域を狭めることが可能となり、またメッセンジャーRNAの安定によって発現誘導される他の遺伝子も見出すことができ、血管新生プローブとして利用しえるメッセンジャーRNA3'UTR候補を複数得られることができた。
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