2011 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドトランスポーター・PEPT1を介した薬物-飲食物間相互作用の研究
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22590505
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
森本 かおり 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (90401009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 琢男 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (80448886)
叶 隆 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (70509257)
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Keywords | トランスポーター / 薬物-食物間相互作用 / 消化管吸収 / PEPT-1 / ミルク |
Research Abstract |
Peptide transporter 1(PEPT1)の基質薬物は、食物由来のペプチドと同じ輸送系を介して吸収されるため、食物ペプチドと吸収過程において相互作用しすることにより薬物の体内動態変化を生じる可能性がある。本研究では、PEPT1の基質薬物とミルクとの吸収過程における相互作用を一般化し、in vitro試験から臨床における相互作用の有無と程度を予測できる系を提案することにより、特に乳児ならびに小児への有効で安全な投薬に資することを目的として検討を行っている。 今年度は、既にPEPTIの基質であるオセルタミビル(OST)について、ミルクの影響に関する臨床試験を実施し、投与後2時間までのOSTおよび活性代謝物であるRo64-0802の血漿中濃度がミルク投与により大きく低下することを示した。投与初期に阻害が見られたのはヒトでは十二指腸特異的にPEPT1が発現していることが原因であると考えられ、十二指腸通過時間内にPEPT1を介して吸収される割合の大きな薬物は、ミルクによる影響を大きく受けることが推察された。(Morimoto K et al. J Pharm Sci100 : 3854-3861, 2011) また、PEPTl基質薬物の検索を行うためにPEPTlの特異的probeとして利用可能な基質の評価を行った。非代謝性、非放射性の擬ペプチドであるThiodipeptide L-Phe-Ψ[CS-N]-L-AlaはPEPT1発現細胞に特異的に取り込まれ、時間、濃度、温度、pH依存的であり、PEPTIの特異的基質によって阻害されたことから、PEPT1の特異的probeとして有用であることが確認された。この基質を用い、PEPT1基質候補薬物を構造から選択し、阻害実験を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特異的基質として特許出願されていたオクラトキシンの評価に時間を費やしたが、特異的基質として用いるには十分でなかったため、新たな候補であるThiodipeptide L-Phe-Ψ[CS-N]-L-Alaを改めて評価したことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro阻害実験でPEPT1の基質である可能性が示されたものについて、個別に基質であることを証明するとともに、in vivoにおけるミルクとの相互作用実験を行う。また、すでに臨床試験でミルクとの相互作用の示されているアモキシシリン等のin vitro阻害実験を行い、臨床における吸収阻害の程度の予測性について考察する。さらに、PEPT1を介した直接の相互作用に加え、間接的にPEPT1阻害する食品成分の影響についても検討する予定である。
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Research Products
(5 results)