2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規迅速遺伝子解析技術の発癌感受性遺伝子多型診断への応用
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22590516
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 公裕 群馬大学, 医学部, 講師 (90375535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アレキサンダー レジヤバ 独立行政法人理化学研究所, 研究員 (40443048)
田中 和美 群馬大学, 医学部, 医員 (30526843)
砂長 則明 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70400778)
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Keywords | MDM2 SNP309 / 肺癌 / Smart Amplification Process法 / 禁煙外来 |
Research Abstract |
今年度,理化学研究所との共同研究によりSmartAmp法を用いたMDM2 SNP309検出キットを作成した.本キットでは2つの異なる吸光度を有する新規蛍光ハイブリダイゼーションプライマー(Exciton Primer)を用いることで野生型・変異型の解析が同一容器内で可能となり,実験用資材の節約・作業効率の向上に繋がった.また,従来SmartAmp法に用いていたミスマッチ結合蛋白(TaqMutS)はタンパク質である故,不安定であったが、本キットではTaqMutSを用いずに検出が可能であるため,保存・管理・解析手技が容易となり、より臨床に即した検出キットになった.この新規に開発したキットを用いることで、血液を直接鋳型とした場合,検体採取から40分以内に簡便かつ迅速なSNPの解析が可能になった。さらに、DNAを鋳型とした場合では、48検体の同時解析が60分以内に可能になった.また、SmartAmp法によるキットの正確性を確認する為,98検体において従来のPCR-RFLP法による解析結果と比較したが、全例での解析結果が一致した.現在は日本人における肺癌とMDM2 SNP309の関連を明らかにするため,肺癌手術症例(腺癌310例 扁平上皮癌115例),正常健常人(703例)のMDM2遺伝子多型をSmartAmp法で解析し比較検討している.現在までの結果では、肺癌群・対照群間の各遺伝子型において有意差を認めず,日本人においてはMDM2SNP309単独では、肺癌の発癌との有意な関連は認められていない。今後さらに解析症例を増やし、他の遺伝子のSNPとの相互関係も含めて最終的な結果を出すつもりである。また、肺腺癌におけるEGFR変異,KRAS変異,喫煙歴,病理病期など分子生物学的・臨床病理学的因子別でのサブグループ解析では、KRAS変異陽性腺癌群(n=38)で喫煙指数(1日の本数×喫煙年数)の平均値がGG type 646,GT type 453,TT type 1279とTT typeにおいて喫煙指数が有意に高い(p=0.014)ことが分かった.現在までにKRAS変異を持つ肺腺癌症例は喫煙との関連が強いことが知られているので、この結果は,TT typeでは喫煙によりKRAS変異陽性肺腺癌が生じにくいことを示唆しているものと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の高性能MDM2 SNP309検出キットの作製・性能確認を行いcase-control試験を行った。現状では肺癌群・対照群の遺伝子型において有意差は認められていないが、解析症例数を増やし、分子生物学的・臨床病理学的因子別でのサブグループ解析を行うことで新しい知見が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析において,喫煙と本遺伝子多型との間に関連が見られており、今後も症例を蓄積し、解析を継続する.さらに、分子生物学的・臨床病理学的因子別でのサブグループ解析を行い、MDM2SNP309の詳細な検討を続けていく。また、SNP309以外にも肺癌に関連する一塩基多型が報告されており、これらと掛け合わせて検討を行う。
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Research Products
(2 results)