2011 Fiscal Year Annual Research Report
血中sCLEC-2測定法の確立と臨床応用に向けた検討:動脈血栓症の予防を目指して
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22590520
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
長田 誠 山梨大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (20569628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 修 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00432154)
尾崎 由基男 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30134539)
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Keywords | SCLEC-2 / 動脈血栓 / 血小板 / ELISA |
Research Abstract |
生体内での血小板活性化を知る血液検査は,動脈血栓症準備状態の検出に有用である.我々は,血小板が活性化を受けるとCLEC-2が血小板から遊離するというデータを得ており,血中soluble CLEC-2が生体内で血小板活性化を示すマーカーとなり,心筋梗塞や脳梗塞などの動脈血栓症の発症を予測する検査として.利用できると考え,ELISAによる測定系を構築すると共に臨床応用に向けた検討を行った. サンドイッチELISA系の構築は,活性化血小板上清を抗原に用いて,サンドイッチELISAのモノクローナル抗体(MoAb)の組み合わせを行い,固相側と標識抗体側のMoAbを決定しELISA系を作製した.しかし,血漿成分の影響を受ける非特異反応が認められたので,それぞれの抗体についてF(ab')化を実施しELISA系を再構築したところ,非特異反応が解消された.新規に作製したELISA系を用いて,リコンビナントCLEC-2を抗原とした検量線を作成し血漿検体を測定した。直線性は,0.09~10ng/mlまで直線性を認め,平均値±2SDで求めた最小検出感度は,0.05ng/mlであり,添加回収試験は±20%と良好であった.また,41例のボランティア血漿の平均値+3SDで求めたカットオフ値は,0.25ng/mlであった.今回作成したELISA系は,再現性,直線性に優れており,生体内での血小板活性化を知る有用な測定系が構築できたと考えられる.今後,動脈血栓症などの臨床検体を測定し,動脈血栓症準備状態の検出に有用であるか検討を行う予定である. CLEC-2を分解する酵素については,MMP-2,MMP-9が血小板に存在し,血小板活性化にともなって放出されるとの報告があるため'これらのインヒビターを用いて実験したところsCLEC-2の放出が抑制された.しかし,リコンビナントCLEC-2と血小板を混ぜた分解実験では,リコンビナントCLEC-2の分解は明瞭に確認されず,細胞内に存在するMMP-9などの酵素によるsCLEC-2の分解による産生機序は不明であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体内での血小板活性化を知る血液検査法として,血小板から遊離されるsoluble CLEC-2のELISA系を作製し,再現性,直線性など良好な結果であることを確認した-soluble CLEC-2の発生メカニズムについては、明確な結果が出なかったが今度の課題と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策は,臨床応用を目指した基礎検討を実施する. 血小板が活性化を受けるとCLEC-2が血小板から遊離し,soluble CLEC-2が産生される.この遊離は,採血や検体処理などによる人為的操作による増加は少ないものと思われるが,採血管,採血手技,遠心時間や検体保存などによる影響についての検討は行っていないので,これらの基礎検討を行う.また,動脈血栓症患者や生体内で血小板活性化状態となりうる疾患のsoluble CLEC-2を測定し,正常人と比較する.さらに,soluble CLEC-2高値患者で再梗塞が多いか前向きに検討し,この測定法の有用性を検討する.
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