2011 Fiscal Year Annual Research Report
シトルリン化フィブリノゲン・フィブリンの溶解性に関する研究
Project/Area Number |
22590521
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
奥村 伸生 信州大学, 医学部, 教授 (60252110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺澤 文子 信州大学, 医学部, 准教授 (40109210)
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Keywords | フィブリノゲン / フィブリン / シトルリン化 / MMP-3 / 抗シトルリン化蛋白抗体 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
正常人血漿からアフィニティークロマトグラフィー法によりフィブリノゲン(Fbg)を精製した。トロンビンと活性化第XIII因子によりFbgからフィブリン(Fbn)を形成させ、さらにペプチジルアルギニンデイミナーゼによりシトルリン化しC-Fbnとした。また、抗シトルリン化蛋白抗体(ACPA)としては抗CCP抗体陽性患者プール血清からプロテインGセファロースカラムにより精製したIgG(P-IgG)を用いた。このP-IgGとC-Fbnを反応させた後に、プラスミン、白血球由来エラスターゼ、リコンビナントキマーゼ、リコンビナントMMP-3で処理した。任意の時間ごとにSDS sample bufferを添加し、煮沸して酵素反応を停止させた。非シトルリン化Fbn(NC-Fbn)および正常人IgG(N-IgG)を反応させたものを対照とした。Fbnの分解性はSDS-PAGE電気泳動により解析を行った。C-FbgとNC-FbgにP-IgGまたはN-IgGを添加した場合、いずれのプロテアーゼを用いても分解速度に大差がなかった。C-FbnとNC-FbnにP-IgGを添加した場合の分解性はプラスミンとMMP-3では48時間までは大きな差はなく、キマーゼではC-Fbnの分解速度が亢進していた。一方、エラスターゼではC-Fbnの高分子量産物の分解がP-IgG添加で遅れた。さらに、C-FbnにP-IgGとN-IgGを反応させた場合、プラスミンではP-IgG添加で24時間以降の分解が遅れた。また、MMP-3では、P-IgG添加した場合の分解速度がN-IgGを添加した場合に比較して著しく遅れることが明らかになった。このことは関節破壊に関与するMMP-3が産生されてもRA患者の関節中に存在するC-Fbnは分解されにくく、その分解遅延がRAの慢性炎症を引き起こしている可能性を示唆するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィブリノゲンと安定化フィブリンをシトルリン化して、抗シトルリン化蛋白抗体存在下でプラスミン、白血球由来エラスターゼ、リコンビナントキマーゼ、リコンビナントMMP-3で処理する実験は終了した。シトルリン化安定化フィブリンにおいて、他の酵素と異なり酵素分解に時間を要したリコンビナントMMP-3の実験結果を再確認する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
シトルリン化安定化フィブリンにおいて、他の酵素と異なり酵素分解に時間を要したリコンビナントMMP-3の実験結果を再確認し、その結果を日本臨床化学会学術集会で発表するとともに、論文としてまとめて臨床病理誌に投稿する予定である。
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