2011 Fiscal Year Annual Research Report
病院感染対策の効率化をめざした多剤耐性緑膿菌の迅速簡易検出法の開発とその評価
Project/Area Number |
22590523
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川村 久美子 名古屋大学, 医学部, 准教授 (30335054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 哲也 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70333573)
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Keywords | 病院感染 / 感染対策 / 多剤耐性緑膿菌 / 迅速簡易検出法 / スクリーニング培地 / 効率化 |
Research Abstract |
多剤耐性緑膿菌(MDRP)には複数の耐性機構が複雑に関与しており,耐性機序の違いがMDRPスクリーニング培地の検出感度や特異性を大きく左右すると考えられる.【研究目的】(1)各耐性機序別における検出性能を検証する,(2)MDRPスクリーニング培地をより精度が高いものへと改良する. 【研究内容】カルバペネム耐性,フルオロキノロン耐性ならびにアミノ配糖体耐性のうち,2つ以上の薬剤に耐性を獲得した腸内細菌科菌種やブドウ糖非発酵菌(緑膿菌,アシネトバクター属菌など)を耐性機序別に分類し,本スクリーニング培地の感度と特異度を検討した.【意義および重要性】昨年の検討で,カルバペネム耐性における耐性機序の違いが,本培地の検出精度に影響することが示唆された.耐性機序にはメタロβ-ラクタマーゼ産生による抗菌薬の分解と外膜ポーリンの減少があるが,臨床分離株の多くは外膜ポーリンの減少による耐性である.このようなメタロβ-ラクタマーゼ非産生菌も効率よく検出し,早期に対策を講ずことが,病院環境におけるMDRPの蔓延防止に重要である.【研究成果】2剤耐性菌180株の検討により,カルバペネム耐性,フルオロキノロン耐性ならびにアミノ配糖体耐性のうち,カルバペネム系薬における耐性機序の違いが,本培地の検出精度に影響することが明らかとなった.具体的には,メタロβ-ラクタマーゼ産生菌(特にIMP-1)は,本培地で正確に陽性を示したが,非産生菌は検出できない場合があった.メタロβ-ラクタマーゼ非産生菌も効率よく検出するために,添加するイミペネムの濃度を再検討し,結果4mg/Lに変更した.この改良によりMDRPを正確に区別できることが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,(1)患者材料や病院環境から分離された菌株を耐性機序別に分類する,(2)各耐性機序別における検出性能を検証する,(3)多剤耐性緑膿菌スクリーニング培地をより精度が高いものへと改良する.(4)本培地による病院環境の実施の4つを柱にし,研究期間2年目に(3)まで終了する予定であった.実際に(3)まで終了しており,予備的実験として,昨年末より第一回目の病院環境を始めたところである.また,これまでの研究成果を論文化し,平成23年12月に投稿することができ,研究目的はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,本スクリーニング培地を用いて,病院環境調査を行い,病院感染対策における有用性を評価する予定である.現時点では,計画の変更や問題点はないものと考える.
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