2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規血栓症リスク・アンチトロンビン抵抗性遺伝子変異の同定解析
Project/Area Number |
22590524
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 正 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (30314008)
高木 明 名古屋大学, 医学部, 助教 (30135371)
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Keywords | 静脈血栓塞栓症 / 先天性血栓性素因 / 原因遺伝子変異 / アンチトロンビン欠損症 / プロテインC欠損症 / プロテインS欠損症 / アンチトロンビン抵抗性 / スクリーニング検査法 |
Research Abstract |
深部静脈血栓症・肺塞栓症(静脈血栓塞栓症)の発症は、診断技術の進歩に伴い日本人にも決して少なくないことが明らかとなり、高齢化社会を迎えた日本においては加齢とともに増加するこの静脈血栓塞栓症の発症リスク因子の解明がきわめて重要な課題となっている。現在まで、様々な先天性血栓性素因の原因遺伝子異常が報告されて来たが、未だその原因遺伝子変異が不明な症例も多い。今年度は、今まで原因が不明であった血栓症の新しいリスクファクターとしてF2遺伝子変異を同定したので報告する。本症例は、3世代の家系内に7名の血栓症罹患者がいて、これまで既知の血栓性素因(アンチトロンビン、プロテインC、プロテインSの各欠損症等)の解析が進められたが、その原因特定に至らなかった。今回,同定したF2遺伝子変異はトロンビンのアンチトロンビン結合部位にミスセンス変異を生ずることが予想され、このため異常トロンビンはアンチトロンビンによる凝固制御が十分に働かず血栓性素因となることが予想された。現在までの予備的な実験結果から、組換え蛋白発現実験での変異型トロンビンは野生型トロンビンに比ベアンチトロンビン結合能が低下し、トロンビン生成試験において総トロンビン生成量は増大、トロンビン生成終了時間も延長を認めた。すなわち、本研究では新しい血栓性リスク概念・アンチトロンビン抵抗性を示す症例を解析したが、今後このようなアンチトロンビン抵抗性を簡便に検出するスクリーニング検査法の開発、ならびに未だリスク因子が明らかでない症例での検索を進めて行く予定である。
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Research Products
(6 results)