2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児のメタボリックシンドロームを念頭に置いた肥満・高脂血症検診とリポ蛋白異常
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22590525
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
山村 卓 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (20132938)
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Keywords | 小児 / 高脂血症 / 肥満 / コレステロール / リポ蛋白 / レムナントリポ蛋白 |
Research Abstract |
奈良県の一地域において実施している小児肥満・高脂血症検診において、小学4年生と中学1年生の最近3年間の検診受診者1,024名(小学生 男/女:327/278名、中学生 男/女:217/202名)を対象として検討した。検診は身体計測ならびに空腹時採血を行い、血清脂質・リポ蛋白・ALTなどを測定した。肥満度が20%以上の肥満児は、小学生で13.7%(男17.8%、女9.0%)、中学生で8.1%(男11.1%、女5.0%)に認められた。また、30%以上の肥満児も、小学生で6.6%、中学生で2.3%に存在した。逆に、-20%未満のやせの児童・生徒は全体で1.7%、特に中学女生徒では2.5%に認められた。今回の検討でALT値が311U/L以上の高値を示す児童・生徒が36名(3.5%)に認められた。このうちの24名(66.7%)は肥満度20%以上の肥満児であり、脂肪肝の合併が疑われた。小学生で24名(男19名、女5名)、中学生で12名(男11名、女1名)が高ALT血症を呈し、いずれも男子に多く認められた。当地域の初期の成績と比較して、今回、小学生で高ALT血症の増加が目立つようで、これは小学生での肥満児の増加と一致するものと考えられる。 また、連携研究者である大阪大学の石神眞人准教授と次の研究を実施した。すでに我々は汎用自動分析機で利用可能なホモジニアス法によるレムナントリポ蛋白コレステロール測定試薬(RemL-C)を開発したが、これを用いて一職域の健診受診者を対象(男性518名、女性317名)に、RemL-Cの動脈硬化危険因子としての意義を検討した。RemL-Cは動脈硬化危険因子として重要であり、特に低リスク女性における測定意義が大きく、健康診断や人間ドックにおいてRemL-Cを積極的に測定する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の小中学生の生活習慣予防検診を継続して実施した。新たな問題点として、小児肥満においても脂肪肝の病態との関連性が示唆された。連携研究者との研究で、成人におけるレムナントリポ蛋白の意義を解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
本地域での小児生活習慣病予防検診はすでに30年以上を経過している。そこで、一つの節目として、メタボリックシンドロームを念頭に置いてこの間の検査成績の推移についてのまとめを開始し、来年度の最終年度の最終報告へとめざす。
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Research Products
(3 results)