2011 Fiscal Year Annual Research Report
選択的除菌治療のための未分化型胃癌発症高危険群同定法の確立
Project/Area Number |
22590527
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 公訓 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60325206)
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Keywords | Helicobacter pylori / CagA / 免疫組織化学 / ELISA / 未分化型胃癌 |
Research Abstract |
免疫生物研究所(群馬県高崎市)との共同開発により、Helicobacter pylori (H.pylori)の重要な毒性因子であるCagA蛋白のうち、抗原とすべき10merのepitopeを選出した。CagA蛋白は宿主に移行後、細胞内リン酸化を受け、重要な細胞内シグナル撹乱蛋白となるため、チロシンリン酸化型oligopeptide (CagA-P)を作製し、これをウサギに免疫することで、チロシンリン酸化型CagA蛋白(CagA-P)ポリクローナル抗体を作成した。全血清採取後にIgG分画を精製し、さらにチロシン非リン酸化型ペプチドで吸収をおこない、チロシンリン酸化型特異分画を得た。この抗体を用いて、ヒト胃粘膜において、免疫組織化学を施行したところ、ヒトH.pylori感染胃粘膜り腺窩上皮にCagA-Pの発現を確認した。また、本抗原をプレート上に固相化することにより、ヒト血清をサンプルとして抗CagA-P抗体価を測定するELISA系を新たに構築した。実際の未分化型早期胃癌症例の胃粘膜と血清を用い、未分化型胃癌症例胃粘膜におけるCagA-Pの発現ないし、血清中の抗CagA-P抗体を測定したところ、未分化型胃癌症例において、胃粘膜におけるCagA-P発現ならびに血清中の抗CagA-P抗体は有意に高値であった。また既存のサンプルを用い、未分化型胃癌における血清マーカーを測定し、対照症例と比較検討をおこなった。これまで有用とされてきたペプシノゲン法は未分化型胃癌の高危険群設定には有用でなく、唯一ペプシノゲンIIの値が、未分化型胃癌高危険群設定に有用であった。今後はこれらマーカーを複合し、総合的な胃未分化型高危険群の同定を試みる予定である。さらには、未分化型胃癌を含む早期胃癌内視鏡治療後症例を対象とした、除菌介入前向き試験を実施計画し、現在当院倫理委員会に申請を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の古典的血清マーカーのみでは胃未分化型癌の高危険度群設定には限界がある事を証明しえた。本研究の課題である新しいマーカーとして、CagA-P関連マーカーが臨床的意義を有する事を証明する事は出来たものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実用に向けて、検査法の有用なカットオフ値設定や再現性の確認が必要である。ELISAシステム全般について方法論的改良が必要と思われる。ELISA系に用いる抗原(tyrosine phosphorylated oligopeptide ; CagA-P)が予想以上に必要であり、費用面において問題が生じる可能性がある。
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Research Products
(10 results)