2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化のDNA損傷・修復機構連関に基づく新規診断法の開発
Project/Area Number |
22590528
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 万里 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (30359898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 隆史 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (40346482)
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Keywords | DNA損傷 / DNA修復 / DNA損傷応答 / 動脈硬化 / DNA二本鎖切断 |
Research Abstract |
前年度、ヒト動脈硬化巣にDNA二重鎖切断が存在し、同時にゲノム損傷修復酵素の発現増加を証明した。また、動物実験においては、動脈硬化マウスのゲノム修復機構の阻害により動脈硬化が増悪することを証明した。 以上の結果をふまえ、今年度はこれらの現象の生じるメカニズムおよびこのメカニズムを用いた診断法の確立を試みた。 ヒト血管平滑筋細胞を用いた実験において、siRNAを用いて各種ゲノム修復因子をノックダウンしたところ、Ataxia Telangiectasia-mutated (ATM)のノックダウンによりゲノム損傷の蓄積が認められ、細胞の老化が促進された。また、ATM,Chk2,DNA-PKのノックダウンにより酸化ストレスによるアポトーシスが減少した。以上より、修復因子の機能不全が存在すると、DNA損傷が蓄積し細胞が老化すると同時に、アポトーシスの減少により損傷されたゲノムを持つ細胞の排除が阻害され、genomic instabilityの高い細胞が増加することが示唆された。 以上の結果より、動脈硬化を生じるメカニズムのひとつの基盤としてゲノム損傷の蓄積という点に着目した。動脈硬化の新規診断法として、体細胞に蓄積しているゲノム損傷の定量化を行うこととし、方法を確立後、現在、その診断における有用性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウスを用いた検討においては仮説と異なる結果が生じたため、さらなる検討を試みているが、診断法の確立については方向性が明らかとなり、検証を行う段階に達したので、当初の目的を達成できる可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
診断法を確立したので、今後は症例を収集し、診断法の有用性の検証を行いたい。現在の診断法はやや煩雑なため、検証が順調に進めば、診断法の技術的な改善を試みる。
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