2011 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌患者の血中遊離核酸を用いた新たな診断法の開発と個別化バイオマーカーの試み
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22590533
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
市川 大輔 京都府立医科大学, 消化器外科, 講師 (20347446)
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Keywords | バイオマーカー / 消化器癌 / 術後マーカー / 個別化 / microRNA |
Research Abstract |
前年度に行った胃癌担癌患者の末梢血液中の異常microRNA(miRNA)の検出に引き続き、他癌種(食道癌ならびに膵臓癌)でも同様の解析を試みた。 食道癌では、組織等の解析によって既に報告されているoncogenic miRNAs(miR-21,184,221)ならびにtumor suppressive miRNA(miR-375)について解析を行った。その結果、食道癌担癌患者における血漿中miR-21が、健常人に比較して高い傾向にあることを発見し、この値が、術前に比較して術後サンプルで有意に低下することも確認した。また、同一患者の癌組織中においてmiR-21が高発現していることも確認できたため、これら血漿中のmiRNAが組織中の発現状況をある程度反映していることが推測された。また、ROC解析で、miR-21/miR.375比の食道癌に対する診断的有用性についても確認し、これら結果を報告した。 膵臓癌でも同様に、組織等の解析によって既に報告されているmiR17-92クラスターに存在するmiR-18aについて解析を行った。まず、miR-18aが膵臓癌細胞株や膵臓癌組織において、健常組織に比較して高値を示すことを確認した。続いて、膵臓癌担癌患者の血漿中miR-18aが健常者に比較して有意に高値であることを確認し、これらの値が術後に有意に低下することも確認した。また、ROC解析でも膵臓癌に対する血漿中miR-18a解析の診断的有用性が確認されたため、これら結果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画通り進んでいるが、Oligoアレイによる解析では、検出能に限界があることも判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
前記の得られた知見の実地臨床への応用を念頭において、更に症例数を増やして解析を行う。一方で、術後の治療効果判定や、再発早期検出マーカーとしての有用性についても検討する予定である。 また、血漿中の循環DNAを用いたOligoアレイによる解析では、検出能に限界がある可能性があるため、SNPアレイ等などの別の解析手法についても検討を加える予定である。
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