2011 Fiscal Year Annual Research Report
Multiplex定量LAMP法によるヘルペスウイルス迅速診断法の確立
Project/Area Number |
22590539
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
井平 勝 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (10290165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 博子 藤田保健衛生大学, 医学研究科, 研究員 (10387714)
榎本 喜彦 藤田保健衛生大学, 医学研究科, 研究員 (00387713)
吉川 哲史 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80288472)
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Keywords | VZV / SNP識別 / サイクリングプローブ / Multiplex PCR |
Research Abstract |
【目的】LAMP法は迅速、簡易な遺伝子増幅法であるが、定量的評価という点ではreal-time PCR法に及ばない。昨年度は、グアニン消光現象を利用したプローブ(Qprobe)とLAMP法を組み合わせてVZV野生株/ワクチン株の迅速鑑別、定量法の開発を試みた。しかし、同一反応チューブに野生株、ワクチン株のQprobeを混合したMultiplex反応では、probe近傍のグアニンによる消光(交差反応)の影響を解決できなかった。そこで本年度は、DNA-RNAからなるキメラprobeとRNaseの組み合わせによりSNPを含む特定塩基配列を効率よく検出できるサイクリングprobeを用い、real-time PCRと組み合わせてVZVワクチン株、野生株の迅速鑑別、定量方法開発を試みた。【方法と対象】VZVワクチン株と野生株間で遺伝子変異が多く認められるORF62の中に標的領域を設定し、プライマー(野生株、ワクチン株共通)、と野生株、ワクチン株用の型特異的サイクリングprobeを設計した。標的領域をサブクローニングしDNAを抽出後、コピー数を決定、段階希釈して感度決定などの基礎検討に用いた。Real-time PCR反応はStep One(ABI)で行い、それぞれの型特異プローブによるsingleplex反応に加え、両ブローブをミックスしたmultiplex反応でも検討した。【結果】ワクチン株、野生株のsingleplex反応は、10-10^6コビー/反応の間で優れた直線性と相関係数(野生株R^2=0.99 ワクチン株R^2=0.98)を示し、同時再現性でも%CVは5%以下であった。この条件下でワクチン株プローブは10^5コピーの野生株と、野生株プローブは10^5コピーのワクチン株と交差反応を示さなかった。Multiplex反応でも野生株、ワクチン株のsingleplex反応と同等の検出感度であったが、両者の混合サンプルを用いると野生株が10^5コピー/反応以上でワクチン株の検出に影響(Ct値の遅延)があった。臨床検体によるTaqman VZV real-time PCRと野生株サイクリングprobeによる定量結果の相関はr^2=0.85であった。【まとめ】Singleplex/Multiplex PCRの感度は、野生株、ワクチン株それぞれ10コピー/反応、ウイルス量とCt値の間には優れた直線性を確認した。Singleplexサイクリングprobe PCRの日差、同時再現性は優れていた。Multiplex反応では、両ウイルス間の交差反応が示唆された。Singleplex反応による臨床検体の検討では、今回のサイクリングprobe法とLAMP+RFLPによるワクチン株、野生株識別結果は完全に一致していた。また、TaqMan real-time PCRとの比較で、定量性についても良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QprobeとLAMP反応を組み合わせた定量法開発については当初近傍(数塩基はなれたグアニン塩基)の配列によるprobeの消光による影響を過小評価していた。実際の測定では、無視できない影響があり同方法による型判別を断念した。しかしながら、新たに導入したサイクリングprobe法開発が予想より順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の検討を行う (1)Qprobeの近傍配列を考慮した迅速定量法開発 (2)Multiplex化のための条件設定 (3)LAMP法とサイクリングprobeの組み合わせによる迅速定量法の可能性を検討する
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Research Products
(6 results)