2011 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌発現系を用いたペプチド性分子認識診断薬の創製法
Project/Area Number |
22590544
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
辻 祥太郎 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), がん治療学部, 主任研究員 (30285192)
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Keywords | 生物・生体工学 / 分子認識 / バイオテクノロジー / 遺伝子工学 / コンビナトリアルケミストリー |
Research Abstract |
1実施計画に従い、抗インテレクチンペプチドクローンと抗TNF-αペプチドクローンの人工的抗体化を行い、最適な完全抗体化プロトコルを確立した。 2複数の抗インテレクチン人工抗体、および抗TNF-α人工抗体を用いて、免疫組織染色、サンドイッチELISA、Western blotting、生理活性阻害効果について検討した。しかし、得られた人工抗体は親和性と特異性において対照モノクローナル抗体よりも劣っており、モノクローナル抗体の換わりとして用いることは出来なかった。 3この問題の原因を解析したところ、ペプチドコアに用いたラマ抗体に由来する、Igドメインを持つ蛋白質への非特異的吸着が主因であることが判明した。この非特異的吸着はHishot法でのセレクションステップの検討や界面活1生剤等の吸着防止剤の添加では阻止できなかった。 4陽性対照として開発した抗インテレクチンモノクローナル抗体は、悪性胸膜中皮腫に特異的に結合し、中皮腫の病理診断マーカーとして極めて優れていることが明らかとなった。また、インテレクチンが実戦的なモデル抗原分子であることを確認した。 以上の結果から、Hishot法が動物免疫によるモノクローナル抗体作製法に替わる実用的な人工抗体作製技術となる得るとは、現状では言えないことが判明した。また主たる問題点がHishot法自体ではなく、ペプチドコアに由来する非特異的吸着にあることが判明した。 そこで現在、抗体L鎖やVpreB蛋白質等の抗体関連ペプチドを用いて、非特異的吸着を抑制し特異性を改善することで、Hishot法の実用化を目指した改良を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Hishot法自体の技術開発は成功し、標的に対して特異的に結合するクローンを得ることが出来た。しかし、モノクローナル抗体作製法に替わる「実用的な」技術開発に成功したといえる段階ではなく、さらなる改良が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最大目標であるHishot法自体の技術開発は成功した。しかし、Hishot法により得られるクローンの特異性が通常のモノクローナル抗体のものより劣るため、Hishot法で得られた抗体クローンを病理解析等で用いることは現状では困難である。そこで抗体部分のペプチドの再検討を行い、より実用的な技術として確立することを目指す。
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