2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイド関連解析を起点とするメタボリック症候群と動脈硬化の分子疫学研究
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22590547
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
村松 正明 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50230008)
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Keywords | メタボリック症候群 / 遺伝子多型 / ゲノムワイド関連解析 / 遺伝子-環境因子交互作用 / エネルギー摂取量 / 食事調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、メタボリック症候群から動脈硬化症にかけての全身的な代謝異常と血管病変に関わる遺伝因子および遺伝因子と環境因子の交互作用を明らかにする事により、メタボリック症候群および動脈硬化症の発症・進展の早期予防に向けて基盤となる遺伝情報を創成することである。本年度はゲノムワイド関連解析(GWAS)や候補遺伝子法で糖尿病と関連することが発見された遺伝子を日本人集団の職域コホートで解析して、エネルギー摂取量、塩分摂取量、日常的運動量などのライフスタイル因子との交互作用を検討した。また複数の遺伝子多型がどのように代謝的表現系に影響を与えるかを検討した。その結果、GLUT4(rs5418), GIPR(rs10423928), VPS13C(rs17271305), GCKR(rs1260326), and CDKAL1(rs9465871)の5個糖尿病感受性遺伝子のSNPを用いる事によって、これらが相加的にHbAlcレベルをコントロールしていることを明らかにした。またGLUT4遺伝子多型に関しては単独で、エネルギー摂取量と交互作用を持ってHbA1cレベルを上昇させる事が明らかとなった。以上の事は、メタボリック症候群の種々の表現形質における複数の遺伝子がリスクファクターであることを確認するとともにこれらを捉える事により、より正確に発症リスク群を割り出す可能性があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでゲノムワイド関連解析は、単独の遺伝子座(SNP)と疾患の関連を鋭敏に捉えることは出来ていたが、これらの複数のSNPが合わさって、血圧(昨年度)および血糖(本年度)に相加的影響を及ぼしていることを明らかにした意義は大きいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のCommon variantによって高血圧や高血糖のリスクが算出されるが算出されることが明らかになった。今後は、このような原理が遺伝子検査に応用可能なのかどうかという点が益々重要になってくると考えられる。これらの成果を予防医療への応用へ向けた包括的な新しい研究課題の策定を見据えて、本研究課題の最終年度の研究に取り組んで行く。
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Research Products
(3 results)