2011 Fiscal Year Annual Research Report
あまみ長寿地域における動脈硬化の経時変化に関する環境・宿主要因の研究
Project/Area Number |
22590551
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新村 英士 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80381177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶽崎 俊郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50227013)
宮田 昌明 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00347113)
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Keywords | 分子遺伝学 / 動脈硬化 / 予防 / 長寿 / 環境・宿主相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、あまみ長寿地域における動脈硬化の経時的変化を検索するため、日本多施設共同コホート研究J-MICC研究)で集められた疫学情報と血液検体を利用して解析を行う。平成17年度のJ-MICC研究初回調査から6年目に当たる今年度、初回調査に参加したY島とT島4町の対象者1,977名に対し第二次調査として初回調査と同内容の半定量食物摂取頻度調査票調査、生活習慣全般に関する自記式質問票調査、血液採取、尿採取、健診結果情報収集および虚血性心疾患、脳血管疾患の代理マーカーとして動脈硬化度の指標である心臓足首血管指数(CAVI)の測定が行われた。本年度は条件を満たす4町の対象者1,138人の血液から遺伝子の抽出作業を行い、昨年度採血し抽出したO島2町の対象者733人の遺伝子と合わせて1,871人のSNPs解析を開始した。 また、CAVIの経時変化についての解析を行い日本疫学会にて発表を行った。平成17~18年度の初回調査とそれぞれの5年後に当たる平成22~23年度のあまみ島嶼地域における動脈硬化指数・CAVIと生活習慣、初回検診結果との関連について男性749名、女性1,108名のデータを解析した。その結果、CAVI値の変化が少なかった女性では脂質異常症、高LDL血症、高TG血症の割合がCAVI値の変化が中程度の群より多く.CAVI値の変化が大きい群では女性の高血圧、男性の糖尿病が多いことが明らかとなった。多変量解析では男性においてCAVI値の変化量とHDLコレステロール、飲酒習慣との間に負の相関が見られた。CAVI値と飲酒量に関しては明らかな用量反応関係は認められなかった。 さらに、CAVI値の地域比較を行い、長寿者の割合が多いあまみ地域では男女とも鹿児島県本土住民に比べ低く、日本人健常者集団と比べて男性で同程度、女性で低いCAVI値を示すことを明らかにし学術誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定ではSNPsはCAVIの変化の大きい群と小さい群に分けてその一部(1,000名)を解析することにしていたが、CAVI値の経年変化が予想より小さかったため、対象者をO, YT島のすべての研究参加者に拡大し、1,871人のDNAを抽出した。そのため予定よりDNAの抽出に時間がかかったが、すでに2種類のSNPsの解析は完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
解析予定のSNPsは最新の論文報告を元に動脈硬化の進展と関係が深いと考えられるものに変更して解析を進めている。動脈硬化度CAVIの経時変化と環境要因のみの関連についての解析では限られた要因のみが明らかになった。これは観察期間が5年しかなかったことにより動脈硬化度の変化が小さかったためと思われる。今後、SNPsを加えた環境・宿主相互作用の解析を行うことにより環境要因への高感受性群を明らかにしていきたい。
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Research Products
(3 results)