2011 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンシグナルによる小胞体ストレス応答の修飾機構の解明
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22590553
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
稲毛田 清 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90281659)
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Keywords | インスリン / 小胞体ストレス / GRP78/Bip / ATF4 / SH-SY5Y / 神経保護 / アポトーシス |
Research Abstract |
小胞体ストレス応答によるGRP78遺伝子発現誘導には、ATF6とXBP-1が関与することが指摘されている。インスリンによるGRP78遺伝子発現誘導の増加に対するATF6およびXBP-1転写因子の関与の有無を明らかにするために、それぞれの抗体を用いて評価した。しかしタンパク質が検出できなかったので、それぞれの遺伝子を単離し、FLAGタグ付加GFP融合タンパク質およびGAL4融合タンパク質をコードする発現プラスミドを構築した。これらの遺伝子を導入させた細胞から抽出液を調整して、抗FLAG抗体を用いてタンパク質の発現を確認した。これを用いることより、感度良く、簡便に評価できると考えられる。インスリンシグナルによるATF4蛋白質の安定化のメカニズムについて、以下に示すAKTキナーゼが関与する実験結果を得た。小胞体ストレス剤処理では活性型を示すAKTキナーゼのリン酸化は検出されなかったが、インスリン共刺激によりAKTキナーゼのリン酸化が検出された。構成的活性型AKTキナーゼ遺伝子を作成して強制発現させると、ATF4タンパク質が増加した。またGRP78遺伝子プロモーター活性をインスリン非依存的に上昇させ、この上昇はATF4ノックダウンにより消失した。ドミナントネガティブAKTキナーゼではこのような効果はなかった。インスリンによるATF4タンパク質の安定に関わる領域を同定するために、ATF4-ルシフェラーゼ融合タンパク質をコードする発現プラスミドを構築した。インスリンの他に、IGF-IによりGRP78プロモーター活性の上昇やGRP78タンパク質の増加が認められたが、EGFではそのような効果はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗体がうまく機能しないこともあったが、解析方法を変更して対応することができている。また震災の影響により、実験時間の短縮を余儀なくされたが、簡便な方法を構築するなど、工夫している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22年度、23年度の研究成果をもとに、「小胞体ストレス剤によるGRP78遺伝子発現誘導に対するインスリンシグナルの作用機序の解明」、「インスリンシグナルによるGRP78遺伝子発現誘導促進は、その細胞生存に関与するか?」、「インスリン抵抗性が及ぼす小胞体ストレス応答への影響」の項目について、研究を推進する。
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