2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン環境暴露が小児の社会情動発達に及ぼす影響
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22590556
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
西条 旨子 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40198461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
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Keywords | ダイオキシン / 小児 / 脳神経発達 / 疫学 / 身体発達 / ベトナム / 母乳 / 社会情動発達 |
Research Abstract |
[研究実施内容]ベトナム共和国ダナン市の高濃度ダイオキシン汚染地域と対照地域の地域病院にて出生した新生児(汚染地域150名、対照地域80名)を登録、コホート集団とし、生後1ヶ月、4ヶ月時に続き、1歳時に追跡調査を行ない、体格および脳神経発達についてのデータを収集、データベースを作成した。また、高濃度汚染地域については、3歳に達した者について体格および脳神経発達についての調査を行なった。さらに、対照地域の母乳中のダイオキシンの17の異性体についても測定を終了したため、小児の発達指標と母乳中ダイオキシン濃度を暴露指標としたデータ解析を行った。 [得られた知見](1)4ヶ月までの体格、脳神経発達については、汚染地域および対照地域で追跡できた計200名について母乳中ダイオキシン濃度群間による相違を検討し、毒性等価指数TEQが高い群では男児の体重やBMI、体重増加率が低いこと、脳神経発達、特に表出言語発達も低い傾向にあることを見出した。しかし、女児については出生時の頭囲が大きかったものの、脳発達についてはダイオキシン濃度との関連を認めず、ダイオキシンの脳発達への影響には内分泌撹乱作用を背景とした性別による影響の相違があることが明らかになった。(2)汚染地域については、母親の職業、収入、井戸水の使用、食習慣と母乳中ダイオキシン濃度との関係を検討し、ダイオキシン濃度の高い母親は、井戸水の使用経験があり、魚や卵の摂取パターンに特徴のあることを見出した。 [意義・重要性]周産期ダイオキシン暴露の次世代影響、特に高次脳機能への影響を明らかにし、ベトナムの現場に適合した汚染対策を実施するための基礎資料を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コホートの設定や追跡調査がベトナム研究者の協力の元に順調に行なえたこと。また、ダイオキシンとの脳神経発達調査結果との関連性についての解析が進んでおり、予想した知見が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイオキシン定量分析の精度管理を行い、精度の高いデータベースを構築した上で、データの統計解析を進め、ダイオキシンの小児脳神経発達、特に社会情動発達についての影響を明らかにしていく。 また、論文を作成し、知見を広く世界に発信する。
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