2011 Fiscal Year Annual Research Report
飲酒の抗血栓作用に関連する血小板TRPチャネルの分子機構
Project/Area Number |
22590562
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40333950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
武田 裕司 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90302299)
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Keywords | アルコール / 血栓症 |
Research Abstract |
[目的]同じアルコール類であるエタノールとメタノールではその生理的意義はまったく異なる。これらのアルコール類の血小板への効果の比較はまだ報告されておらず、今回我々は血小板凝集およびカルシウム流入機能へのエタノール及びメタノールの影響について検討を行った。 [方法]洗浄血小板を用いて血小板内Ca^<2+>濃度および血小板凝集能を測定した。血小板刺激剤としてCa^<2+>-ATPas6阻害剤であるthapsigargin及びdiacylglycerol(DG)アナログである1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol(OAG)を用い、また生理的アゴニストとしてthrombinを用いた。 [結果]thapsigargin刺激で惹起されたcapacitativeCa^<2+>entry(CCE)はエタノール(0.5-2%)の添加により濃度依存的に有意に抑制され、血小板凝集は0.5%以上のエタノールの添加によって有意に抑制された。逆にOAGによるDG依存性Ca^<2+>流入はエタノール(0.5-2%)の添加により濃度依存的に有意に増強され、血小板凝集はエタノール(0.5-2%)の添加により濃度依存的に抑制された。thrombin刺激により惹起されたCa^<2+>流入はエタノール(0.5-2%)の添加により有意な変化を示さず、血小板凝集はエタノール(0.5-2%)の添加により有意に抑制された。メタノール(0.5-2%)添加によりthrombin刺激による血小板凝集は亢進したが、CCE及びDG依存性Ca^<2+>流入には影響を及ぼさず、thrombin刺激時のCa^<2+>流入もメタノールの影響を受けなかった。 [結論]エタノールによる血小板凝集抑制作用は刺激の種類によらず認められた。一方、エタノールはCCE及びDG依存性Ca^<2+>流入へは相反する作用を示し、トロンビンによるCa^<2+>流入には影響を及ぼさなかった。またメタノールによりCa^<2+>流入はその流入経路に係らず影響を受けず、メタノールはCa^<2+>流入に非依存性の血小板凝集亢進作用を有する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の活性化シグナルによって、エタノールの影響がそれぞれ異なった反応を示し、それが異なったTRPチャネルを介することが示唆されたと言う結果を得る事が出来た事は、本研究にとって大きな進展であると考える。メタノール等の他のアルコール類での反応についても学会報告を行ったが、興味深い結果が得られているので、さらにこの成果を発展させるべく研究を継続したい。
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Strategy for Future Research Activity |
メタノールの血小板活性化に対する影響はエタノールと異なり、その活性化シグナルによる差異を示さなかった。メタノールの血小板に対する影響は現在まで報告がなく、研究の継続により薪知見を得る事が出来ると考えている。血小板凝集に対する影響についての検討はまだ不十分であるため、これらについても継続して研究を行いたい。さらに血小板活性化に対して他のアルコール類についても検討を行い、TRPチャネルへの影響を含め、血小板活性化シグナル及びそれに伴う血小板凝集能に対する体系的な影響を検討できればと考えている。
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Research Products
(3 results)