2011 Fiscal Year Annual Research Report
肥満と活性酸素:メタボリック症候群と動脈硬化の病態に対するSODの関与
Project/Area Number |
22590563
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
大河原 知水 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (50330452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是金 敦子 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (80461169)
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Keywords | 酸化ストレス / 肥満 / 動脈硬化 / 活性酸素 / スーパーオキシドジスムターゼ / メタボリック症候群 / N-結合型糖鎖 |
Research Abstract |
組み換え型マウスEC-SODを精製し、N結合型糖鎖の構造解析を実施した。EC-SODの糖鎖は、基本的にコアフコースが結合した高マンノース型で、様々な比率でシアル酸を含む1~4本鎖までの複合糖鎖であることを明らかになった。さらに、創薬への応用を前提として、組み換え形ヒトEC-SODタンパク質の発現系と精製法を確立し、精製タンパク質の構造と機能に関する解析を実施した。ヒトゲノムDNAよりEC-SODのエキソン3をPCRにより増幅し、真核生物の発現ベクターに組み込んだ。野生型ヒトEC-SODを発現するものと、6xHisタグ付き融合タンパク質の発現ベクターを各々CHO-K1細胞に遺伝子導入し、恒常的にヒトEC-SOD、および融合タンパク質を発現している細胞のクローンを分離した。大量培養し、培地中のEC-SODをカラムクロマトグラフィーにて精製した。組み換え型EC-SODの糖鎖を酵素的に分解すると、酵素のSOD活性は大きく低下した。 高脂肪食の投与により作成した実験的肥満マウスの脂肪組織ではTNF-αなどの炎症性のサイトカインが発現し、慢性的な炎症が生じていることが確かめられた。脂肪組織は比較的多量のEC-SODが発現しており、肥満は脂肪組織のEC-SOD発現を遺伝子レベルでも、タンパクレベルでも低下させることから、これらの炎症と酸化ストレスの関わりが予想される。一方、自発的な運動は実験動物の腹腔内マクロファージよりghrelinの分泌を促し、脂肪組織の炎症性サイトカインの合成を抑制していることが明らかになった。このことは、適度な運動がghrelinの抗炎症作用を介してメタボリック症候群の予防、治療に有効であること示唆する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組み換え型ヒトEC-SOD産生系の構築を先行させたため、3T3-L1細胞の脂肪分化にかかわる実験を実施できていないが、平成24年度に実施可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞表面のEC-SODをリガンドとする分子として、LRP-1(LDL受容体関連タンパク質)が報告されており、EC-SODの組織との親和性を論じる上で、この分子との相互作用の解析は避けて通ることが出来ない。本年は、脂肪細胞、および血管平滑筋細胞のLRP-1の発現とEC-SODの局在を含めて研究を進める事を計画している。
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