2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射線被ばくのバイオマーカーとしてのメタロチオネインアイソフォーム遺伝子の利用
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22590571
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
三浦 伸彦 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 主任研究員 (20229644)
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Keywords | 放射線 / メタロチオネイン / バイオマーカー |
Research Abstract |
放射線被ばく量の測定はガラスバッジ等を用いて可能であるが、被ばくによる生体影響程度を知るための簡便なばく露影響指標(バイオマーカー)は現時点で開発されていない。そこで本研究ではメタロチオネイン(MT)アイソフォームをはじめとした複数種の遺伝子発現変動を指標とした放射線被ばくのバイオマーカーとしての可能性を探る。 平成23年度は放射線照射によるMTアイソフォーム遺伝子の発現パターン解析を培養細胞(HL-60細胞)で行った。照射は放射線医学総合研究所においてX線照射装置を用いた0.03Gy~8Gyの照射量で行い、照射24時間後のMTアイソフォーム遺伝子の発現変動を定量PCR法で解析した。その結果、MT-2A発現量の有意な上昇に加え、MT-1A及びMT-1Eの発現量増加が認められた。これらの増加は1Gyより低線量の照射量では認められず、また他のアイソフォーム遺伝子の変動は8Gyの照射でも観察されなかった。さらに酸化ストレスに対する重要な防御因子で放射線による転写誘導が知られているヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子の発現変動も同時に調べたが、プライマー設計に問題があるのか複数のPCR産物が検出され、プライマー配列を検討し作製し直しても単一産物の増幅とはならなかったため現時点では結果が出揃っていない。メジャーな遺伝子であることからプライマー配列の変更で解決できると思われる。以上の結果よりMT-2A,-1A,-1Eが放射線照射により発現変動したことから、これら3種を中心に照射条件を変えて(照射後の時間、照射時の血清の有無、照射量の再検討など)、さらに解析を進めると共にパターン化を試みていく。 一方、医療現場におけるフィールドについては共同研究者(元研究分担者:木村真三)が大阪にある中規模病院の放射線科医師および技師について協力依頼を行った。木村の所属先変更に伴い実施については現時点で未だ保留であるが、次年度での実験予定には組み込む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災対応、夏期節電により照射実験を行う機会が大幅に減った(放射線医学総合研究所は原発対策において中心的役割を果たしてきたためやむを得ない状況である)。しかし年度の後半に培養細胞を用いて照射条件を決定し、照射後のメタロチオネインアイソフォーム遺伝子の「動き」を捉えつつある。照射条件等を変え、現象をより確実なものとしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞に加え、ヒト血液から単離するリンパ球での照射実験を先ずは行う予定である。研究代表者の所属研究所と放射線医学総合研究所との物理的距離があるため、照射実験を頻回行うためにはエフォート率を若干増やし、本研究課題に費やす時間を増やす必要がある。
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