2011 Fiscal Year Annual Research Report
小唾液腺をターゲットとした高齢者口腔乾燥症の治療戦略構築
Project/Area Number |
22590575
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 しづ子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60225274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 憲明 東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
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Keywords | 小唾液腺 / 高齢者 / 口腔乾燥症 / ヨウ素デンプン濾紙法 |
Research Abstract |
近年、総唾液分泌量の低下を伴わない口腔乾燥症患者の存在が明らかとなった。その原因として、総唾液分泌量とは別に、口腔内に広く分布している小唾液腺の分泌量低下が口腔乾燥感を惹起している可能性が考えられるが、その実態は不明である。本研究の目的は、口腔乾燥症の罹患頻度が多いことが知られている高齢者を対象として、小唾液腺分泌機能と口腔乾燥症状との関連を明らかとすることである。 当該年度は、口腔乾燥感のために東北大学病院を受診した高齢者患者を対象として、当教室で開発した、簡易に小唾液腺分泌量を測定できる“ヨウ素デンプン濾紙法”を用いて、実際の小唾液分泌量を測定した。また、小唾液腺分泌量測定と同時に、小唾液腺分泌機能と口腔乾燥との関連を明らかにするために、口腔乾燥感の自覚調査、口腔内の乾燥程度と様々な口腔乾燥併発症状(味覚障害、歯肉炎、口腔粘膜疾患、口腔カンジダ症など)の有無に関する口腔内精査、口腔細菌培養検査、総唾液分泌量測定を行った。 その結果、口腔乾燥感を訴えた65歳以上の高齢者患者に、総唾液分泌量は正常であるにもかかわらず口腔内に口腔乾燥がみられるものが確認され、それらの患者では、小唾液腺分泌量が健常高齢者よりも低下していた。また、これらの高齢者患者に、口腔乾燥の併発症状として味覚障害を示す患者がみられ、特に基本5味の中で“うま味”に特化した味覚障害を示す患者がふくまれていた。 “うま味”感受性低下を示した患者は、食欲不振やそれに伴う体重減少を示すことが多く、体調不良を訴えていた。これらの患者に、唾液腺分泌量増加作用のある漢方薬を処方した結果、小唾液腺分泌量は増加し、“うま味”感受性は正常化し、患者の食欲と体重の改善が得られた。小唾液腺分泌量低下は、口腔乾燥を招き、またその併発症状として味覚障害を惹起する場合があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
23年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)