2010 Fiscal Year Annual Research Report
健常成人集団での加齢に伴う認知機能低下と生活習慣病リスク要因との関連
Project/Area Number |
22590583
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 高明 名古屋大学, 医学部, 教授 (00195900)
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Keywords | 酸化ストレス / 前頭葉機能 / 認知機能 / 血管内皮機能 |
Research Abstract |
Stroopテストは認知機能のスクリーニングテストとして1935年に開発され、700をこえる関連研究成果が報告されてきた。しかしStroopテストと生物学的指標との関連に関する報告はほとんど見当たらない。本研究では39-87歳の健常成人集団(男性154名、女性204名)から同意を得て血清提供を受け、Stroopテストに関連する指標を明らかにしようとした。今回用いたい指標は血清-酸化窒素代謝物(NOx)、サイクリックGMP(cGMP)、およびアルブミンである。NOxとcGMPの定量には市販の測定キットを用いた。Stroopテストは4色からなる40のドットシートを用いたテスト(干渉なし)と、色と不一致の漢字が印刷されたシートでのテスト(干渉あり)に要する時間を従属変数とし、各生体指標との関連性を共分散分析により解析した。共変量としては、年齢、肥満度、飲酒喫煙習慣、運動習慣に加え、PGCモラルスケールの測定値も加えた。65歳以上の女性では、NOxは干渉がない場合もある場合も有意な(P<0.05)正の関連性を示し、アルブミンはいずれのテストでも有意な負の関連を示した。また両テストの差(干渉による反応遅延)は65歳以上の女性で、有意ではないが正の相関傾向を示した。NOxは血管内皮機能を示す指標といわれているが、生活習慣病リスクが増加するとNOxはむしろ増加するという結果が報告されており、このことがStroopテストへの反応時間との正の関連を説明すると考えられる。アルブミンは高齢者の予後を予測する因子であることが知られており、アルブミン値が低いほどStroop反応が遅れるという今回の結果から、アルブミン値は認知機能へも影響を与える因子であることが示唆される。
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