2011 Fiscal Year Annual Research Report
健常成人集団での加齢に伴う認知機能低下と生活習慣病リスク要因との関連
Project/Area Number |
22590583
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 高明 名古屋大学, 医学部, 教授 (00195900)
|
Keywords | 酸化ストレス / 脂肪酸 / 認知機能 / 血管内皮機能 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、血清脂肪酸組成は食事摂取頻度で推定される脂肪酸摂取量との関連は認められないこと、メタボリックシンドロームのリスク集積とは関連が認められるものの、従来、報告されている関連性とは必ずしも一致しないことが示された。平成23年度は血清脂肪酸組成が動脈硬化性病変の進展と関連がある抗酸化微量元素や、動脈効果と関連が見られるかに焦点を当てた解析を行った。対象者は2010年8月に実施された八雲町検診受診者で、データに欠損がある者や炎症性疾患の疑いのある者を除いた研究参加同意者541名(男性211名、女性330名)の健常成人である。血清脂肪酸としての各種の飽和脂肪酸、単価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(n3系とn6系)の測定は、血清をメチル化処理後にガスクロマトグラフィを用いて行った。抗酸化状態の指標としてはβカロテンやリコピンなど6種類のカロテノイドを用いた。動脈硬化の指標としては超音波による頸動脈内膜中膜複合体の厚さ(IMT)を用い、さらに血管内皮機能指標としてNOxの測定も実施した。 解析の結果、飽和脂肪酸は多くのカロテノイドと負の関連性を示し、また単価不飽和脂肪酸も負の関連性を示した。n3系多価不飽和脂肪酸はβカロテンと、n6系多価不飽和脂肪酸は多くのカロテノイドと正の関連性を示した。健常成人では飽和脂肪酸や単価不飽和脂肪酸が微量元素による抗酸化能低下と関連し、多価不飽和脂肪酸は抗酸化能亢進と関連している可能性が示唆された。さらに飽和脂肪酸はIMTと正の関連が認められ、動脈硬化の促進因子である可能性が示唆された。これらの結果は、脂肪酸が認知能に影響を与える重要な因子であることを示唆するものであり、さらに解析を進めていく必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データや検体は計画通り収集されており、検体の分析作業もほぼ計画に沿って進められている。しかしデータベースの作成や統計学的解析の段階で遅れがあるため、総合的には上記区分となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度も昨年度までと同様、検体収集と分析、データベースの作成を実施する。また24年度は計画最終年度であるため、3年間のデータから追跡可能なデータのリンクを行い、系年的な変動についても統計解析を実施する予定である。
|
-
[Journal Article] Urinary concentrations of organophosphorus insecticide metabolites in Japanese workers2012
Author(s)
Ueyama J, Saito I, Kondo T, Taki T, Kimata A, Saito S, Ito Y, Murata K, Iwata T, Goto M, Shibata E, Wakusawa S, Kamijima M
-
Journal Title
Chemosphere
Volume: 87
Pages: 1403-1409
Peer Reviewed
-
-
-
-
-