2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域住民を主体としたエンパワーメント型健康支援事業の推進に関する研究
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22590619
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松田 晋哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (50181730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 善久 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80352326)
久保 達彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (00446121)
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Keywords | 住民参加 / 健康づくり / ワークフェア / 高齢者 / 地域保健計画 |
Research Abstract |
高度高齢社会においては公助のみで高齢者を支えることは困難であり、地域住民自らが健康支援事業を担っていくことが求められる。種々の意識調査によると「健康」は常に高齢者の関心が高い項目として挙げられている。そこで、本研究では「健康」と「住民参加」をキーワードとして社会基盤再構築のための地域システムを再構築するためのモデル事業を行い、その効果について心身両面から検証した。 調査対象は県内の2地域(行橋市名、みやこ町 名)である。それぞれの地域で高齢者の生活の状況と健康状態に対するアンケート調査を行い、その結果を分析した。その結果、社会経済的状況が心身の健康状態に有意に関連していることが明らかとなった。具体的には所得の低い者、公営住宅居住者、仕事を持っていない者などで二次予防が必要な高齢者と判定される割合が有意に高く(p<.01)、また一般的健康観、移動、口腔機能、ADL、IADL、鬱傾向は相互に有意に相関していた(いずれもp<0.01)。公民館単位で行われた運動機能向上プログラムに参加した高齢者では運動機能や抑うつ度の有意の改善が見られたが(p<0.05)、継続性の点で問題が見られた。対象者及び指導者のインタビューの結果では、健康づくり活動が徐々にマンネリ化すること、継続的な達成感・充実感が得られなくなっていくことなどが問題点として指摘された。国内の先進地域(東京都稲城市、鹿児島県鹿屋市柳谷地区など)における事例を検討した結果、有償ボランティアやモノづくりといった「雇用的」な要素があることが生きがいややる気につながり、活動継続のインセンティブになることが推察された。 そこで、今後の活動内容について関係者との協議を行い、休耕地を活用した「園芸作業」による健康づくり事業を展開することを決め、その効果について検証することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地域の変更はあったが、アンケートの分析結果に基づく地域健康づくり活動の実施及びその評価など、おおむね順調に研究計画を行えている。分析結果は各自治体の計画(地域福祉計画、介護保険事業計画等)にも反映されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22年度、23年度の分析結果をもとに平成24年度は「園芸活動」を主体とした健康づくり活動を行う。高齢者が農作業等を行うため、その身体的負荷について人間工学的・労働生理学的視点から分析するとともに、その効果について心身両面及びIADLの視点も含めて総合的に評価する。事業の実施経緯を含めて、ケースメソッド的なマニュアル作成も試みる。
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