2010 Fiscal Year Annual Research Report
日常生活下の子どもにおける殺虫剤、可塑剤及び難燃剤への曝露とその吸収量の評価
Project/Area Number |
22590623
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉田 俊明 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (00201856)
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Keywords | ガスクロマトグラフィー/質量分析 / 尿中代謝物 / 可塑剤 / 難燃剤 / 殺虫剤 / 防虫剤 / 有機リン系化合物 / 非職業性曝露 |
Research Abstract |
本研究は、子どもにおける化学物質曝露に着目し、一般生活環境中で広範に使用され、神経毒性や内分泌かく乱作用を有する殺虫剤(有機リン系、ピレスロイド系)、難燃剤(有機リン系)および可塑剤(フタル酸系)を対象として、これらの一般子どもへの曝露レベルと吸収量を把握することを目的とする。 平成22年度は、家庭用品や殺虫剤の市場調査等により、子どもが日常生活で曝露される可能性の高い化学物質を選定し、これらの各尿中代謝物の分析方法を確立した。曝露を想定した化学物質は、有機リン系殺虫剤12種、有機リン系難燃・可塑剤5種、防虫剤2種であり、各物質の代謝物15種(ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジメチルチオホスフェート、ジエチルチオホスフェート、ジ-n-ブチルホスフェート、ジフェニルホスフェート、ジ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、3-メチル-4-メチルチオフェノール、3,5,6-トリクロロ-2-ピリジノール、3-メチル-4-ニトロフェノール、2-イソプロピル-6-メチル-4-ピリミジノール、2,4-ジクロロフェノール、2,5-ジクロロフェノール、1-ナフトール、2-ナフトール)を分析対象とした。尿を塩酸で加水分解し、硫酸アンモニウムを飽和量添加した後、バイオタージ製ISOLUTE ENV+により代謝物を抽出した。酢酸メチルおよびアセトニトリルにより代謝物を脱着し、脱水、濃縮後、各代謝物の誘導体(O-(tert-ブチルジメチルシリル)化)を形成した。溶液を濃縮、乾固後、誘導体をトルエンに再溶解し、ガスクロマトグラフィー/質量分析(電子イオン化法)により定量した。 尿試料からの各代謝物の回収率は45~104%(大部分で80%以上)であり、検出下限濃度は0.2~1.1μg/Lであった。各代謝物は200μg/L以下の濃度において再現性よく、正確に定量することが可能であると考えられた。尿試料中の代謝物は、採取後約1カ月間冷凍保存に対して安定であった。
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