2011 Fiscal Year Annual Research Report
日常生活下の子どもにおける殺虫剤、可塑剤及び難燃剤への曝露とその吸収量の評価
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22590623
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉田 俊明 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (00201856)
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Keywords | メトフルトリン / プロフルトリン / トランスフルトリン / 尿中代謝物 / ラット / 含フッ素ピレスロイド剤 / 同定 |
Research Abstract |
本研究は、子どもにおける化学物質曝露に着目し、一般生活環境中で広範に使用され、神経毒性や内分泌かく乱作用を有する殺虫剤(有機リン系、ピレスロイド系)、難燃剤(有機リン系)および可塑剤(フタル酸系)を対象として、これらの一般子どもへの曝露レベルと吸収量を把握することを目的とする。 一般に体内に吸収された化学物質の量は、尿中に排泄されるその代謝物量により把握される。平成23年度は、ピレスロイド系殺虫剤の市場調査等により、子どもが日常生活で曝露される可能性の高い薬剤種を選定し、これらの各尿中代謝物の分析方法を確立することを当初計画していた。しかし、最近住宅内での使用が増加している含フッ素ピレスロイド剤については、その代謝物が明らかでないものがいくつか存在することか判明した。昨年度はそれらの尿中代謝物を動物実験により同定した。 3種の含フッ素ピレスロイド剤トランスフルトリン、プロフルトリンおよびメトフルトリンをそれぞれSD系雄性ラットの腹腔内に投与し、投与後24時間内に排泄される尿中の代謝物をガスクロマトグラフィー/質量分析により同定した。トランスフルトリン投与ラットより3種(2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラフルオロ安息香酸、3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸)、プロフルトリン投与ラットより4種(4-メチル-2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコール、4-メチル-2,3,5,6-テトラフルオロ安息香酸、4-ヒドロキシメチル-2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコール、2,2-ジメチル-3-(1-プロペニル)-シクロプロパンカルボン酸)、メトフルトリン投与ラットより3種(4-メトキシメチル-2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコール、4-ヒドロキシメチル-2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコール、2,2-ジメチル-3-(1-プロペニル)-シクロプロパンカルボン酸)の代謝物がそれぞれ尿中より同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題遂行のための補助金申請段階では、化学物質による子どもの体内汚染と室内空気汚染の実態調査を実施することを計画していた。最近使用量が急増している数種のピレスロイド剤については、その尿中代謝物が明らかにされていないことが判明した。本研究を遂行するためには、これらのピレスロイド剤の尿中代謝物を明らかにし、吸収量の指標として適切な代謝物を決定することが必要である。このため研究計画を一部変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度同定されたピレスロイド系殺虫剤3種(トランスフルトリン、プロフルトリンおよびメトフルトリン)の各代謝物の高速液体クロマトグラフィーによる分析方法を確立する。さらに、これらの殺虫剤をラットに、投与量を変化(4濃度程度)させて投与し、尿中に排泄される各代謝物量を薬物同力学的に解析する。各殺虫剤について、投与量と尿中に排泄きれる各代謝物量の関係から、曝露指標として適切な代謝物を選定する。
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