2012 Fiscal Year Annual Research Report
日常生活下の子どもにおける殺虫剤、可塑剤及び難燃剤への曝露とその吸収量の評価
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22590623
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉田 俊明 大阪府立公衆衛生研究所, 企画総務部, 主任研究員 (00201856)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メトフルトリン / プロフルトリン / トランスフルトリン / 尿中代謝物 / ラット / 含フッ素ピレスロイド剤 / ガスクロマトグラフィー/質量分析 / 曝露指標 |
Research Abstract |
一般に体内に吸収された化学物質の量は、尿中に排泄されるその代謝物量により把握される。平成23年度、最近住宅内での使用が増加している3種の含フッ素ピレスロイド剤(トランスフルトリン、プロフルトリンおよびメトフルトリン)の尿中代謝物を動物実験により同定した。 平成24年度は、同定された各尿中代謝物の分析方法を開発するとともに、トランスフルトリン曝露における吸収量の指標として適切な尿中代謝物について検討した。 同定された合計8種の代謝物の分析方法を検討した。尿中代謝物の抱合体を加水分解した後、トルエンで抽出した。代謝物を誘導体化(トリメチルシリル化またはtert-ブチルジメチルシリル化)し、ガスクロマトグラフィー/質量分析により定量した。各代謝物は20μg/ml以下の尿中濃度において正確に再現性よく定量可能であった(定量下限濃度:0.01-0.03μg/ml)。採取した尿試料は1ヵ月間冷凍保存可能であった。 トランスフルトリンをラットの腹腔内に投与(26、64、160及び400mg/kg)した後、経時的に1週間採尿した。尿中に排泄される3種の代謝物(2,3,5,6-テトラフルオロベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラフルオロ安息香酸、3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸)を上記の方法により定量し、その体内動態を薬物動力学的に解析した。各代謝物排泄量の投与量に対する割合、各代謝物の平均体内滞留時間はいずれの代謝物においても投与量による差は見られず、広範な曝露濃度範囲において、曝露量と各代謝物尿中排泄量との間に線形性が認められた。2,3,5,6-テトラフルオロ安息香酸はトランスフルトリンに特徴的な代謝物であり、またその尿中排泄量は投与量の約50%を占めることから、トランスフルトリン曝露における最も適切な曝露指標となり得ると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題遂行のための補助金申請段階では、化学物質による子どもの体内汚染と室内空気汚染の実態調査を実施することを計画していた。最近使用量が急増している数種のピレスロイド剤については、その尿中代謝物が明らかにされていないことが判明した。本研究を遂行するためには、これらのピレスロイド剤の尿中代謝物を明らかにし、吸収量の指標として適切な代謝物を決定することが必要である。このため研究計画を一部変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、24年度にトランスフルトリンに関して実施した手法を用いて、プロフルトリンおよびメトフルトリンについて、同様に各殺虫剤の曝露指標として適切な代謝物を選定する。
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Research Products
(5 results)