2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590645
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
井上 博之 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (40159992)
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Keywords | 社会医学 / 分析科学 / 法中毒学 / 質量分析 / 薬毒物 / スクリーニング / 血液 / 違法薬物 |
Research Abstract |
薬毒物検査は、法医解剖における死因究明の一環として極めて重要である。本研究では、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等を連結しない、直接導入型の質量分析計を用い、生体試料をそのまま、あるいは簡単な前処理のみで測定する手法の確立を行う。そのため、本年度は、液-液抽出による尿試料からの効率的な目的物質の抽出法の検討を行った。まず、健康成人尿に薬物を添加した試料をガラス製ろ紙に滴下し、直接導入型質量分析計(日立DS-1000)で測定したところ、メタンフェタミン、MDMA等の薬物イオンは尿中濃度1μg/mLにおいても十分に検出された。しかしながら、尿試料の個体間でさまざまな程度のイオン抑制効果が認められたため、安定した測定結果を提供するためには何らかの前処理が必要であると考えられた。 そこで、薬物添加尿をアルカリ性下、ヘキサン抽出し、その有機層を同様に分析したところ、各薬物のイオン強度は大幅に増大するとともに個体間差を低減することが可能となった。法医解剖における薬毒物スクリーニングでは、塩基性薬物のみならず、中・酸性薬物も対象とする必要があるため、より効率的な前処理法として、固相抽出カートリッジによる前処理についても検討した。塩基性薬物(メタンフェタミン、MDMA、エフェドリン類等計7種類)の回収率は81-97%、中・酸性薬物(フェノバルビタール、ペントバルビタール、ブロムワレリル尿素、アセトアミノフェン)の回収率は64-90%であり、良好な結果を得た。しかしながら、一部の薬物については、イオン抑制が顕著に認められたため、今後、他の固相抽出カートリッジについても検討し、抽出法を最適化する予定である
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Research Products
(1 results)