2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能画像を用いた内臓感覚の記憶と認知変容過程の研究
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22590646
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿野 理子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20344658)
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Keywords | 内臓感覚 / 脳画像 / 条件付け / 心身相関 / 痛覚ネットワーク |
Research Abstract |
心身医学においては、身体から脳へのシグナル、脳から末梢臓器へのシグナル、およびその相互作用がどのように調整されるのかを追及することが主要な課題である。本研究では、内臓刺激による条件付けおよびそめ消去課題を用いて、内臓刺激を侵害刺激として認知し、条件づけ反応として獲得され、その後、状況の変化に応じて、獲得された侵害反応を制御していく過程を検討する。すなわち、(1)内臓感覚はどのように脳において条件づけされ、記憶されるか、(2)条件付け反応はどのような形で末梢臓器において表出されるのか、(3)獲得された条件づけ反応は、状況の変化に伴い、どのように強化、あるいは減弱されていくのか、を検討することを目的とする。 平成23年度は、東北大学病院の放射線科と連携して、平成22年度に作成した直腸に留置したバルーン拡張により誘発した内臓刺激と視覚刺激を組み合わせた条件づけ課題を、実際の機能性磁気共鳴装置(MRI)のスキャナーの中で遂行できるシステムを構築した。すなわち、MRIの撮像開始のシグナルを視覚刺激システムであるプレゼンテーションソフトウェアに入力し、プレゼンテーションにより提示される視覚刺激と連動して、直腸刺激装置であり刺激に伴う直腸内圧、かつ刺激容量を設定できるバロスタットシステムより、直腸刺激が行われ、自動的に刺激を終了し、Visual analogue scaleにて刺激ごとに刺激レベルの評価を行えるシステムを構築した。同時にMRIスキャナーの中で、心拍変動、皮膚電気活動を計測するシステムを構築した。数名の被験者の参加で実際に遂行して、問題なく実験を遂行できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画のうち、1)fMRIと条件づけ課題を用いた内臓感覚の記憶と消去過程の研究については、予定人数をほぼ終了し、解析を進めている。2)内臓感覚による腸管条件付け実験についても、最大の目的である、MRIスキャナーの中での大腸刺激刺激システムを構築することに成功し、実際の被験者に参加してもらい、十分に機能することを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)fMRIと条件づけ課題を用いた内臓感覚の記憶と消去過程の研究については、現在、解析がメインの作業となっており、fMRIデータ解析の専門家である、英国キングスカレッジ、ブランマー教授らと協議の上、さらに解析を進める。結果が確定したのちに、論文化する。 2)内臓感覚による腸管条件付け実験については、実験モデルの構築が成功した状況であり、予定人数まで参加被験者を増やし、その後、解析、論文化を進めていく予定である。被験者の確保、心理的および生理学的ストレス反応性の特徴、を検索し、脳活動の関連を明らかにしていく。
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