慢性心理ストレス誘発の生体機能異常と骨髄由来ミクログリアの関連検索

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22590661
• Research Institution: Sapporo Medical University
• Principal Investigator: 安宅 弘司 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30563358)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤宮 峯子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10199359) ; 永石 歓和 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30544118)
• Keywords: 慢性心理ストレス / 骨髄由来ミクログリア / 視床下部 / 消化管運動

Research Abstract

本研究は、生体のストレス反応(消化管機能異常、摂食障害、不安など)が血行性に動員される骨髄由来ミクログリアと神経細胞との相互作用で起こるというまったく新しいコンセプトで行おうとするものであり、それに基づいた新しい治療戦略の開発を目的とするものである。本年度の研究結果は以下のとおりである。GFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞を移植した、キメラマウス(骨髄由来細胞のみGFP陽性細胞)にコミュニケーションボックス装置を用いて5日間連続で心理ストレスを負荷(1時間/日)した結果、1)視床下部・室傍核に骨髄由来ミクログリアが集積すること、2)視床下部においてバソプレッシン、オキシトシン、ウロコルチン3のmRNAの発現が有意に増加していること、3)集積した骨髄由来ミクログリアはCX3CR1の発現量がレジデントミクログリアに比べて低いこと、4)集積した骨髄由来ミクログリアでは、トリプトファン代謝酵素(indoleamine-2,3-dioxygenase,IDO)のRNA発現が増加しておらず、その形態も分枝状であることから休止型であること、5)慢性心理ストレスは上部消化管運動を抑制し、下部消化管運動を亢進させることを発見した。以上の結果から、慢性心理ストレスにおいて、骨髄由来ミクログリアはストレス中枢である視床下部・室傍核に集積し、生体反応発現に関与する神経細胞に影響を及ぼす可能性を示している。来年度は、さらに神経と骨髄由来ミクログリアとの関係を検討していく予定である。